物恐ろしい[語句情報] » 物恐ろしい

「物恐ろしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物恐ろしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
写生紀行」より 著者:寺田寅彦
りはまるようなものはこれと言って頭にとどまっていない。海岸は心騒がしく、山の中は物恐ろしい。立派な大廈高楼はどうも気楽そうに思われない。頼まれてもそういう所に住....
笑い」より 著者:寺田寅彦
。 そうかと思うと、たとえばはげしい颶風があれている最中に、雨戸を少しあけて、物恐ろしい空いっぱいに樹幹の揺れ動き枝葉のちぎれ飛ぶ光景を見ている時、突然に笑い....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
時分の話である。冬になるとよく北の山に山火事があって、夜になるとそれが美しくまた物恐ろしい童話詩的な雰囲気《ふんいき》を田園のやみにみなぎらせるのであった。 ....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
大鐘に頭を突っ込んだ通りだ。而して暑さに蒸れ切った空気と、夜よりも暗い暗闇とは、物恐ろしい仮睡に総ての人を誘うのである。敲いて居る中に気が遠くなって、頭と胴とが....
ある幻想曲の序」より 著者:寺田寅彦
。 石炭がはじけて凄まじい爆音が聞えると、黒い煙がひとしきり渦巻いて立ち昇る。物恐ろしい戦場が現われる。鍋の物のいりつくような音を立てて飛んで来る砲弾が眼の前....
山の手の子」より 著者:水上滝太郎
河童《かっぱ》さんの姿もしばしば見えた。芳年《よしとし》の三十六怪選の勇ましくも物恐ろしい妖怪変化《ようかいへんげ》の絵や、三枚続きの武者絵に、乳母《うば》や女....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
であった。 しかし瞬間に彼の一団は、輝かしい日の光の圏内から消えて、暗い寂しい物恐ろしい、森林の奥へ消え込んだ。 こうして無二無三に走って行く。 この勢い....
肌の匂い」より 著者:三好十郎
いや二疊位の部屋――あれが部屋と言えるか。なにか動物の巣。動物と言つても大きな、物恐ろしいやつでは無く、たより無く小さい。そうだ、蜜蜂か何かの巣穴。そんな感じで....