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「物情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
生前に誰からも顧みられなかった償いとしてでもあるように、その死後なお数日のあいだ物情騒然たる存在を続けるように運命づけられていようなどと、誰が予想し得ただろう?....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
丸は安土城に入れ、清洲の信雄を移り来らしめて後見となした。天正十年十二月の事で、物情|恟々たる中に年も暮れて行った。 明くれば天正十一年正月、秀吉、かの滝川一....
島原の乱」より 著者:菊池寛
る者があったが、其場に唖となり躄となった、などと云う。こうして宗教的熱情は高まり物情次第に騒然となって来た。 「領主板倉氏の宗徒への圧迫と課役の苛酷さとは、平時....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
かりでもない、不気味なその静寂の奥に、危機を孕んだ暗いその殺気の奥に、なにかこう物情騒然とした慌ただしさがほの見えました。しかも街全体が、城下全体が、何とはなく....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
なった。守護職松平|容保のにわかな参内と共に、九門の堅くとざされたころは、洛中の物情騒然たるものがあった。七月十八日には三道よりする長州方の進軍がすでに開始され....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
川慶喜が将軍職を辞したころから、国政は再び復古の日を迎えたとはいうものの、東国の物情はとかく穏やかでないと聞いて、江戸にある平田|篤胤の稿本類がいつ兵火の災に罹....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ったく、一時はどんな形勢に陥らないとも知りがたかった。どうやら時勢はあと戻りし、物情は恟々として、半蔵なぞはその間、宮司の職も手につかなかった。 しかし、半蔵....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
といえば鳥羽伏見の戦を初め、江戸城の明渡、会津征伐等、猫の眼の如く変転する世相、物情騒然たる時節であったが、その中に、かほどの名誉ある優遊を藩公と共にしていた翁....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
しくこの三つのものを具備した点で心敬の理想を如実に実現したものである。世情を究め物情に徹せずしていたずらに十七字をもてあそんでも芭蕉の域に達するのは困難であろう....
染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
時世は慶応元年で、尊王|攘夷、佐幕開港、日本の国家は動乱の極、江戸市中などは物情騒然、辻切、押借、放火、強盗、等、々、々といったような、あらゆる罪悪は行われ....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
ったのであろうなど腹の中で考えて一層不安が増し、取り沙汰が喧しくなるという風で、物情実に騒然たる有様であった。 私は、師匠の店におって仕事をしている間、子供心....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
という布令である。これは大騒ぎ。今日から思うと迂闊極まることではあるが、今日とは物情大変な相違であるから、我々は実に意外の感。まず第一に親たちの驚き。夜もおちお....
四十年前」より 著者:内田魯庵
が、潮の如くに押寄せると民論は益々政府に肉迫し、易水剣を按ずる壮士は慷慨激越して物情|洶々、帝都は今にも革命の巷とならんとする如き混乱に陥った。 機一発、伊公....
まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
められておったが、夜中に石が飛んで来る。竹槍がスッと突出して来る、というわけで、物情騒然たるものがあった。警察では、もう君らの生命は保障できないから、警察に来て....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
どと、母は言っている。やがて列車は発車する、母は窓から頻りに手を振っている。この物情騒然たる中を、母はとうとう汽車に乗って行ってしまったか、と、何だか馬鹿にされ....