物持[語句情報] »
物持
「物持〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物持の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
、外記が五つの袴着《はかまぎ》の祝儀の時にお屋敷から新しくこしらえて頂いたのを、
物持ちのいい彼女は丹念に保存して置いたのである。もう一枚の紬《つむぎ》は奥様のお....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しの一揆が起った。現にこの五月にも下谷神田をあらし廻ったので、下町《したまち》の
物持ちからはそれぞれに救い米の寄付を申し出た。そのときに彼《か》の三島では商売柄....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
けられて、俄かに料簡を変えなければならなくなった。 攘夷の軍用金を口実にして、
物持ちの町家をあらし廻るのは此の頃の流行で、麻疹と浪士は江戸の禁物であった。勿論....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
味を知って帰れば可いに。――と才発けた商人風のと、でっぷりした金の入歯の、土地の
物持とも思われる奴の話したのが、風説の中でも耳に付いた。 叔父はこくこく坐睡を....
「白光」より 著者:井上紅梅
いるのだ。 ずば抜けた秀才として初等試験から高等試験まで立続けに及第し……村の
物持はあらゆる手段をもって縁を繋ぎ求め、人々は皆|神仏のように畏敬し、深く前の軽....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
のはこの村と隣の村の閑人であった。黒い苫船の中に立っているのはいうまでもなく村の
物持の家族であった。けれど彼等は芝居を見ているのではなかった。大抵はそこでお菓子....
「この握りめし」より 著者:岸田国士
けたが、断乎としてこれを斥けた。それともう一つは、公安委員の要職にある男が、ある
物持の未亡人を脅迫して土地を法外な値で手に入れ、あまつさえ、彼女の貞操を奪おうと....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
人を得意にして、手堅い商売をしていた。ほかに地所|家作なども持っていて、町内でも
物持ちの一人にかぞえられ、何の不足もない身の上であったが、ただひとつの不足――と....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
やがて俄かに笑い出した。 「畜生。今どきそんな古手を食うものか。」 甚吉の家は
物持ちである。その独り息子が人殺しの罪に問われるのを恐れて、かれの家族が何者をか....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
源右衛門『言葉が悪くばあやまります。何はともあれ、お預け申した開祖様御影像を、礼
物持って受取りに来ました。さっと此処を通して下せえ』 法師三『ならんならん』 法....
「橋の上」より 著者:犬田卯
ゃんの家は村の素封家だった。K川に添った田や畑の大部分を一人占めにしているほどの
物持ちで、さぶちゃんはその村田家の次男だった。三年ほど、脳の病とかで遅く入学して....
「幽霊」より 著者:小野佐世男
ところによると、この家は人殺しの家であったというのである。この家の主人というのは
物持ちの老婆であって、風流好みのこの屋敷を建てたが、一人身の淋しさから、一人の甥....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
ここに憑き物系統とは、俗に狐持・犬神筋などと言われる所謂「
物持筋」の事である。これがもし昔時の或る術を修得した暦博士や陰陽師の徒の、任意に....
「茶美生活」より 著者:北大路魯山人
心中は波打つものである。それが売り立て市にでも出るとなっては、どうしようもなく、
物持つ人の手にと移り行ってしまうのである。無産者の中にいかなる具眼の士あろうと、....
「俗臭」より 著者:織田作之助
った風で、千恵造の様な気の弱い「ぐうたら者」は全く異色なのだ。代々魚問屋で相当な
物持ちだったが、父親の代に没落した。原因は博奕と女であった。父親が死んで後に残っ....