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物欲しそう
「物欲しそう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物欲しそうの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
けて持っている、歿《な》くなった母の遺物《かたみ》であった。
若者はその琅※に
物欲しそうな眼を落しながら、
「これは立派な勾玉ですね、こんな性《たち》の好い琅....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
ゅう圧しつけられた。兄弟達に食物を頒《わ》けるとき、お島だけは傍に突立ったまま、
物欲しそうに、黙ってみている様子が太々《ふてぶて》しいといって、何もくれなかった....
「刺繍」より 著者:島崎藤村
さんの孫娘がかしこまって給仕する側には、マルも居て、主人の食う方を眺めたが、時々
物欲しそうな声を出したり、拝むような真似《まね》をしたりした。 音沙汰《おとさ....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
も御馳走に成れ」という亭主の蔭で、細君も飯を始めた。戸棚の中に入れられた小猫は、
物欲しそうに鳴いた。山の中のことで、亭主は牛肉を包んだ新聞紙をもめずらしそうに展....
「縮図」より 著者:徳田秋声
結婚媒介所で、いくらか金のある未亡人を一人捜し出し、後妻に迎えさせたので、いつも
物欲しそうにしていた花村も、にわかに朗らかになった。 秋から冬にかけてのことだ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
いかどうかはまだ決まってはいない。貧乏人の娘を裸体にして若い青年が囲んで、そして
物欲しそうな目や、好奇心の目で眺めているところを想像してみよ。これまことに嫌悪す....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
十四人である。一たい巴里というところは、いつだってこの種の、アンリ親分に従えば「
物欲しそうな面の金持ち」で、こんなことのためには即座に幾らでも投げ出そうという意....
「小公女」より 著者:菊池寛
蔑むように笑って、衿の中から細いリボンを引き出しました。「ほら、これよ。私の顔が
物欲しそうだったからあの坊ちゃんもクリスマスのお小遣を、下さる気になったのよ。」....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
練乳《コンデンスミルク》の溶かしたのを、室の隅でぴちゃぴちゃ舐め終った猫が、なお
物欲しそうに鼻をうごめかしてるのを、彼はいきなり胸に抱き上げて、慌しい眼付で室の....
「南さんの恋人」より 著者:豊島与志雄
は血色がわるく皮膚は荒れ、男たちはどれもこれも、疲れたような、退屈なような、或は
物欲しそうな顔をしている。第一、この緑素の少いしなびた植木がいけない。これを見て....
「ニューフェイス」より 著者:坂口安吾
顔、唄をうたいなさい。例のソプラノです。変にニコヤカな素振など見せると、いかにも
物欲しそうにとられますから、できるだけムッツリと、仏頂ヅラを見せておいて、然し、....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
いるんで。盗られた! と思ったとたんに自分と一番近く並んでいた貧乏なお侍さんの、
物欲しそうだった顔が眼に浮かんで来たそうで。そこで『盗んだなアあいつだ』と云いふ....
「俊寛」より 著者:倉田百三
たがないや。 俊寛をさけるごとく、少し離れた所に行き網を打つ。 俊寛 (※の中を
物欲しそうにのぞきこむ。やがて隙をうかがい手を突込み魚をつかみ、ふところに入れる....
「想像と装飾の美」より 著者:岸田劉生
る方がやさしいといいたい位である。この意味で今日の新らしい日本画は殆ど皆駄目だ。
物欲しそうな感じしか与えられない。 写実の道を歩みたいのなら諸君の前には至極便....
「すっぽん」より 著者:佐藤垢石
たのである。だが、甚だおいしくなかった。泥の臭みが鼻をついて、 『こんなのなら、
物欲しそうな顔などするのではなかった』 と、悔やんだのである。そんな古い記憶が....