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物的
「物的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ことで、下顎骨《かがくこつ》の張った頬のあたりや、やや大きい口の周囲に、旺盛な動
物的精力が、恐ろしいひらめきを見せていることは、ほとんど壮年の昔と変りがない。
....
「春」より 著者:芥川竜之介
がし出した。彼女の経験に誤りがなければ、干し草の匂のする男性はたいてい浅ましい動
物的の本能に富んでいるらしかった。広子はそう云う篤介と一しょに純粋な妹を考えるの....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
生を許さなかったからもありましょうが、また一つには彼の性情が、どちらかと云うと唯
物的な当時の風潮とは正反対に、人一倍純粋な理想的傾向を帯びていたので、自然と孤独....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
り、所謂光栄を好んだりするのは今更此処に云う必要はない。機械的訓練を貴んだり、動
物的勇気を重んじたりするのも小学校にのみ見得る現象である。殺戮《さつりく》を何と....
「想片」より 著者:有島武郎
当、および使用の更正によって準備しうると固く信じていた人であって、精神的生活は唯
物的変化の所産であるにすぎないから、価値的に見てあまり重きをおくべき性質のもので....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
いほど古びている。 僕の母なども先祖の言い伝えだからといって、この戦国時代の遺
物的古家を、大へんに自慢されていた。その頃母は血の道で久しく煩《わずら》って居ら....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
し、速やかに高い能力を発揮し得ることを疑わない。 ただ問題となるのは、この人的
物的資源を僅々二十年内に大動員し得るかである。固より困難な大作業である。しかし革....
「新日本の進路」より 著者:石原莞爾
して世界制覇を志したのが、今次の大破局をもたらしたのである。 この間すべてを唯
物的に取運ばんとするソ連は、今日アメリカと世界的に對抗し、眞のデモクラシーを呼號....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
犬と山羊を相手にころがりまわりました。彼のがっしりした、私には寧ろ恐ろしい程な動
物的な感じのする体が、真白な山羊の体と一緒に犬に追われながら、まるで子供の体のよ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ては祭日に処する人間の態度如何にかかる。羽目を外した昂奮、則を越えた置酒高会、動
物的な慾情の満足――人間がこれに走れば、勿論祭日は有害である。しかしこれは祭日や....
「人造物語」より 著者:海野十三
壊力も、断然強くなるはずで、その内に世界大戦争が起って、その強烈なる科学戦は、生
物的人間を一人のこらず、一瞬の間に打ち殺してしまうことがないとも言えない。そうな....
「仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
切を老人に売りこみたがった。実際彼等多くの親戚が、この気むずかし屋の癇癪もちの動
物的な汚れが浸みこんでいるように見える老人の周囲に出没するのは何も心から、この一....
「明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
学のほか夙《つと》に進化論と仏教哲学の影響を受けたのであるが、進化論者はとかく唯
物的方面に傾向する。殊に加藤博士のごときは、よほど極端な唯物論者であった。自分も....
「妖怪学」より 著者:井上円了
れを心理学という。これ、普通の見解なりし。もし学術上、物のほかに心なしといえる唯
物的の論に考うるときは、人の心は神経の変化作用より生ずるものにして、その体すなわ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ねばならぬ。 日本に於てさえ道義より力、物を中心としていた時代が多い。覇道は動
物的本能であり、王道への欲求、憧憬が人間の万物の霊長たる所以である。今後も人類は....