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「物臭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物臭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
清逸は園が側近く来たのを知ると、なぜともなく心の中が暖まるのを覚えて、今までの物臭さに似ず、急いで窓から戸口の方に寝返った。が、それまで眩《まば》ゆい日の光に....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
親が玉子焼を呉れたが、これは有難すぎて咽喉へ通らなかった。俺の口はしょっちゅう漬物臭いぞ。今も臭いぞ。それを此の女は知るまい。此の香水の匂いをプンプンさせている....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
だ」 春とは云っても寒かった。竈の火口へ手を翳しながら、草賊の長毛利薪兵衛は、物臭さそうにこう云った。 「火柱が立つっていうのだな」陶器師は好奇的に訊いた。 ....
提灯」より 著者:田中貢太郎
八月の中|比で国へ帰る連中はとうに帰ってしまい、懐の暖かな連中は海岸へ往ったり山へ往ったり、東京にいるのは金のない奴か物臭か、其のあたりのバーの女給にお思召をつけている奴か、それでなければ僕等のよう....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
背に青木の影が重なっているだけでもイヤだったのに、エンゼルの影も重なっている。動物臭がプンプン匂っている。それはみんなバカのせいだ。 「あなた、今になって気がつ....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
が宙にういてるヒマ人の言葉よりは数等よろしいだろう。 こういうと、私がいかにも物臭さで、なんにもやりたがらない人間のようにきこえるが、案外そうでもない。 劇....
北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
いうことである。越して行く家越して行く家いずれも穢ないので有名であった。ひとつは物臭い性質から、ひとつはもちろん家賃の点から、貧家を選まざるを得なかったのである....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
たそうです。けれども、奥方様、私は乗り込んだアレウート号の中で、ふたたび、あの獣物臭い恐怖を経験することになりました。 それが、どうでございましたろうか、心臓....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
であるように、一面私は神経質で、他面私は放胆であった。又一面|洒落者で他面著しく物臭であった。宿命的病気に取っ付かれて以来、その程度が烈しくなった。この病気の特....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
…迂濶な相手は出されない。……観世氏、お出なさい」 「はっ」というと観世銀之丞は物臭さそうに立ち上がった。 観世銀之丞引き退く 観世銀之丞は能役者であ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
分は、なかなか悪くないと云ってよかろう。 翌日は昼頃までグッスリと寝、起きると物臭さそうに顔を洗い、小綺麗な小間使お里の給仕で、朝昼兼帯の食事をし、青簾を背後....
四月馬鹿」より 著者:織田作之助
湯を愛しているのかも知れない。ところが、それほど銭湯好きの彼が何かの拍子に、ふと物臭さの惰性にとりつかれると、もう十日も二十日も入浴しなくなる。からだを動かすと....
議会見物」より 著者:佐藤垢石
上 議会中、一日くらいは傍聴席へはいってみるのも国民のつとめであろう。と考えるのだが、物臭ものにはなかなか思った通りにはゆかない。三年に一度か、五年に一度くらいしか、....
『鉢の子』から『其中庵』まで」より 著者:種田山頭火
入るとき、私は御仏の声を感じる。 雨のふる日はよい。しぐれする夜のなごやかさは物臭な私に粥を煮させる。 風もわるくない。もう凩らしい風が吹いている。寝覚の一....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
場。) (飛行のものども上にて。) 小人 ここの地の上、谷合は 余り化物臭いから、 この気味の悪い篝火の上で、 もう一度輪をかいていましょう。 ....