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物貰
「物貰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物貰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
で戦場のように騒々しい。そこへ暖簾《のれん》をくぐって、商人《あきうど》が来る。
物貰《ものもら》いが来る。客の出入りはもちろんあった。その混雑の中に――
つつ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
房は手持無沙汰に清しい目を※ったが、 「何ですね、何が欲いんですね。」 となお
物貰いという念は失せぬ。 ややあって、鼠の衣の、どこが袖ともなしに手首を出して....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
は、こ、この子がかわいそうでございます。いろいろ災難に逢《あ》いまして、にわかの
物貰《ものもら》いで勝手は分《わか》りませず……」といいかけて婦人は咽《むせ》び....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
なんだか知らぬが産業を営造すと言われたり、説教をもって渡世としたり、歌舞をもって
物貰いの方便としていたのであった。そこへ平安朝になっては、三善清行のいわゆる「家....
「融和促進」より 著者:喜田貞吉
、はては切取強盗となるものが多いでありましょう。あるいは世人の慈悲同情に訴えて、
物貰いに生き甲斐のない露命をつなぐ。あるいは恥も外聞も言ってはおられず、どんなに....
「融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
革業者のようには嫌われなくなりました。もちろん警察事務に与らず、単に遊芸、乞食、
物貰い等に生活したものは、非人と呼ばれてエタとは別の筋目のものになりました。漁師....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
た時にはもう男は湯槽から躍り上がっていた。 「おいお蘭ちゃん、済まないがお前の着
物貰って行くぜ、……着物どころかお前の体も貰うつもりだったが、裸身で――そうよ、....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
へズタ/\の姿をしてまいりまして、 多「はい、御免なせえ」 役「何処へ参るのだ、
物貰いなら彼方へ行け彼方へ行け」 多「はい、少々物が承わりとうございます」 役「....
「根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
様になった頃より、毎日々々チャンと時間を極《きめ》て廻って来る門付《かどづけ》の
物貰いがございまして、衣服《なり》も余り見苦しくはなく、洗いざらし物ではあります....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
が這入って寒くていけないから………もう出てしまって有りませんよ」 ふみ「いえ私は
物貰いではございません、三八さんのお宅は此方でございますか」 女「あゝあ………は....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
ころに赤黒い肉がのぞいていて、眉のところがのっぺりしている。彼はおりおりこの村に
物貰いにやって来る癩病患者の顔を思い出した。そして、どんなに暑苦しくても繃帯を巻....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
ある会社の職工であったが機械に喰い込まれて怪我をしたというのである。そして多くの
物貰いに共通なように、国へ帰るには旅費がないというような事も訴えていた。 幾度....
「黴」より 著者:徳田秋声
六十四 時々白い砂の捲き上る道の傍には、人の姿を見てお叩頭をしている
物貰いなどが見えはじめて、お詣りをする人の姿がほかの道からもちらほら寄って来た。....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
敷の中を通る小学校通いの子供の草履ばた/\で驚いて朝寝の眠をさましたもので、乞食
物貰い話客千客万来であったが、今は屋敷中ぐるりと竹の四ツ目籬や、※、萩ドウダンの....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
田の門柱 万歳の鼓を炙る竈かな 妻猿の舞はですねたる一日かな 春駒や美人もすなる
物貰ひ 鞠唄や妹が日南の二三尺 から/\と切凧走る河原かな 藪入の昼寝もしたり南....