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特有
「特有〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
特有の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
一
部屋《へや》の隅に据えた姿見《すがたみ》には、西洋風に壁を塗った、しかも日本風の畳がある、――上海《シャンハイ》
特有の旅館の二階が、一部分はっきり映《うつ》っている。まずつきあたりに空色の壁、....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
こには取材と手法とに共通した、一種の和洋|折衷《せっちゅう》が、明治初期の芸術に
特有な、美しい調和を示していた。この調和はそれ以来、永久に我々の芸術から失われた....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
そこでその生徒は立ち上って、ロビンソン・クルウソオか何かの一節を、東京の中学生に
特有な、気の利《き》いた調子で訳読した。それをまた毛利先生は、時々紫の襟飾《ネク....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
めでた》く出来上った人間の一人であった。しかしまたその御目出度さがあらゆる強者に
特有な烙印《やきいん》である事も事実であった。だから仲間の若者たちが河上の方へ行....
「或る女」より 著者:有島武郎
るような船室《カビン》には、きょうの雨のために蒸すような空気がこもっていて、汽船
特有な西洋臭いにおいがことに強く鼻についた。帯の下になった葉子の胸から背にかけた....
「或る女」より 著者:有島武郎
や》に帰って来た。そして制服に着かえ始めた。葉子はいそいそとそれを手伝った。倉地
特有な西洋|風《ふう》に甘ったるいような一種のにおいがそのからだにも服にもまつわ....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
って来た子供たちは遠巻きにその一人の子供を取り巻いた。すべての子供の顔には子供に
特有な無遠慮な残酷な表情が現われた。そしてややしばらく互いに何か言い交していたが....
「星座」より 著者:有島武郎
。彼はどんなに無害なことでも心にもない口をきくことができなかったから。また処女に
特有な嬌羞《はにかみ》というものをあたりさわりなく軟らげ崩して、安気な心持で彼と....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
おいては、幸か不幸か我々の理解はまだそこまで進んでいない。そうしてそこには日本人
特有のある論理がつねに働いている。 しかも今日我々が父兄に対して注意せねばなら....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
は百足虫のように艪の足を出し、艫からは鯨のように舵の尾を出して、あの物悲しい北国
特有な漁夫のかけ声に励まされながら、まっ暗に襲いかかる波のしぶきをしのぎ分けて、....
「親子」より 著者:有島武郎
内儀さんが出て来て、忙しくぐるりの雨戸を開け放った。新鮮な朝の空気と共に、田園に
特有な生き生きとした匂いが部屋じゅうにみなぎった。父は捨てどころに困じて口の中に....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
うことを確認するようになった。』このアラビアの学者の経験したところは、昔の学者に
特有な大衆を軽視するという悪い傾向を除いては現時の科学者のそれと完全に一致するも....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
太い眉の下に上睫の一直線になった大きな眼が二つ。それに挾まれて、不規則な小亜細亜
特有な鋭からぬ鼻。大きな稍々しまりのない口の周囲には、小児の産毛の様な髯が生い茂....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
るが、近来交通機関が益々発達したると、都会風が全く地方を征服したるとに依り、地方
特有の玩具が益々影が薄れて来て、多くは都会化した玩具や、人形を作るようになって来....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
しょう。そこでは知合のたれかれがでて来て、いかにもその気性をあらわした、めいめい
特有の声で話します。それは目がさめてのちまねようにもまねられないものです。どうし....