»
犒
「犒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
犒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ち》は、甚《はなはだ》不興気《ふきょうげ》な顔をしたまま、一言《いちごん》も彼を
犒《ねぎら》わなかった。
甚太夫の負けざまは、間もなく蔭口《かげぐち》の的にな....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
人達が、その時丁度奥で父親とその話をしているところを見て帰って来た。それらの人を
犒《ねぎら》うために、台所で酒の下物《さかな》の支度などをしていた母親と、姉は暫....
「富士」より 著者:岡本かの子
率いて、裾わの田井に秋田を刈った。冬ごもり時しも、旨飯を水に醸《かも》みなし客を
犒《ねぎら》う待酒の新酒の味はよろしかった。娘はどこからしても完璧の娘だった。待....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
「いや、ありがとう御座いました」と警部は戸浪三四郎の質問には答えないで、彼の労を
犒った。 大江山捜査課長は、警視庁の一室で唯ひとり、「省線電車射撃事件」につい....
「運命」より 著者:幸田露伴
ざること十日を越ゆ。燕師いよ/\東昌に至るに及んで、盛庸、鉄鉉|牛を宰して将士を
犒い、義を唱え衆を励まし、東昌の府城を背にして陣し、密に火器|毒弩を列ねて、粛と....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
は頭の上にまた聞いた。
「棟梁《とうりょう》はかざりものじゃねえ」
「そうとも、
犒《ねぎら》わなくッちゃ」
すかさずそう云って、松岡はぽんととび下りた。横ッと....
「死者の書」より 著者:折口信夫
美しいが、蜘蛛の巣より弱く見えるがよ――。 郎女は、久しぶりでにっこりした。労を
犒うと共に、考えの足らぬのを憐むようである。刀自は、驚いて姫の詞を堰き止めた。 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、なにもそんなに他人がましくするには及ばねえ、さあ、ならず者、これから大いに師を
犒《ねぎら》ってやるから庭へ下りろ」 と言って自分が先に立って軍を引上げて、鰯《....
「波多野邸」より 著者:豊島与志雄
。房江も時々姿を見せたが、淋しそうに眼を伏せて黙りがちだった。 その晩、一同を
犒うために簡単な酒食の用意が出来ていたが、当然その席に列なる筈の波多野洋介は見え....
「四十八人目」より 著者:森田草平
一軒建ちになっておりました」 「いや、よく気がつかれた」と、忠左衛門は相手の労を
犒うように言った。「これで邸内の防備に対するだいたいの見当もついた上に、当夜出会....
「吊籠と月光と」より 著者:牧野信一
ている様子である。 「第一夜からして、あの勢いでは頼もしくはあるが、一言その労を
犒《ねぎら》う言葉だけでも贈ってやりたいものだな。」 僕は三人の無銭旅行者のた....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
一日下って、山腹のサンダーという寒村で泊った。三日ばかりそこで休養してから、厚く
犒《ねぎら》ってテンバを帰し、六貫目ばかりになった荷を背負ってトルボ・セーのほう....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
もほぼ定まり、その日は貴賤男女の見物をゆるし貧者に剰れる金を施し、十兵衛その他を
犒らい賞する一方には、また伎楽を奏して世に珍しき塔供養あるべきはずに支度とりどり....
「雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
、彼を牢へ迎え入れた。 まるで、主人に仕えるように、 「寒かったろう」 と、
犒った。そしてすぐ、 「ゆうべは、分ったろうな。間違いなく、自家の窓へ――」 「....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
した。今日の中に小黒部谷を下って村まで帰るのだという。用意に残りの米を与え其労を
犒って、急ぎ足に遠ざかり行く後姿を暫く見送った。私達四人は荷を造り直すと、池ノ平....