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「状景〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

状景の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
た。――筆者は本文へはいる前に、これだけの事を書いている。従ってもし読者が当時の状景を彷彿《ほうふつ》しようと思うなら、記録に残っている、これだけの箇条から、魚....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
う人にだ?」 「区役所のお役人よ――衣物など拵えて、待っているの」 僕は隣室の状景を想像する心持ちよりも、むしろこの一言にむかッとした。これがはたして事実なら....
大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
社会の描写に対して、上流社会の生活は、コンスタンチヌス皇帝の髯剃《ひげそり》の一状景を見れば充分であろう。でもう一度、長々しい引用を許して戴きたい。 理髪師....
石狩川」より 著者:本庄陸男
けじめもつかぬ黒い海の彼方に向って、彼は沈んだ顔をそっと移した。眼には一つの状景が浮んでいた。――先程わかれた相田清祐が、光るような銀髪をランプにかがやかし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
た出たと触れ歩き も自然のウイットがあって面白い。たくまずして気の利《き》いた状景をとらえたところが眼に見るようである。それに比べると、蜀山人《しょくさんじん....
白い壁」より 著者:本庄陸男
隈が刻まれていた。しばらくそうやっていて、そして彼はやっと、これから喋ろうとする状景を再現した。彼は歯ぐきをむきだしてにたりと笑った。 「あのね、そん時あたいの....
『注文の多い料理店』新刊案内」より 著者:宮沢賢治
な北東、イヴン王国の遠い東と考えられる。 じつにこれは著者の心象中に、このような状景《じょうけい》をもって実在《じつざい》したドリームランドとしての日本岩手県で....
明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
物を見て書いたのでも、トルストイの「セバストポール」は、はるかに、清新に、戦争と状景が躍動して、恐ろしく深く印象に刻みつけられる。日清戦争に際して、背後の労働者....
流転」より 著者:山下利三郎
って、こう呟いた小村はそれからやっと二階へ引返し暖炉の傍へ寄ったまま、先刻からの状景をもう一度彼の頭脳の中にくりかえして見た。 私は先刻ここで川上と頻りに主題....
変な恋」より 著者:小酒井不木
の上に盃が割れていることと、机の上に注ぎかけの盃のあることによって、大凡その場の状景を察したが、死体解剖の結果、中毒の徴候は発見されないで、死因は心臓麻痺だとわ....
越後の闘牛」より 著者:佐藤垢石
散らすように逃げだして、このまま捨て置けば幾人人間があやめられるか分からぬ危急の状景を示してきたので、小文吾は矢庭に闘牛場へ飛び下りた。そして荒れ狂う猛牛の間へ....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
。(健吉、文) 街に号外|云々は、健吉さんの文才、絶妙というべきである。もって状景は想像に難くあるまい。 雨は翌日も降りやまず、ぼくの腹ぐあいも、依然、五月....
」より 著者:中谷宇吉郎
は銅面に出来た霜がちぎれて落ちて来るのであって、丁度雪が降っているのと同じような状景を呈するのである。この霜を冷い硝子板で受け取って、顕微鏡下でその形を調べるの....
流言蜚語」より 著者:中谷宇吉郎
す」と大声で怒鳴ってまた馳けて行った。もう二十年以上も前のことであるが、あの時の状景は今でもありありと思い浮《うか》べることが出来る。勿論《もちろん》全く根も葉....