狂おしい[語句情報] » 狂おしい

「狂おしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

狂おしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
て、私は元より当の鍛冶《かじ》まで、しばらくはただ、竹馬を戟《ほこ》にしたまま、狂おしい沙門の振舞を、呆れてじっと見守って居りました。 十 ....
或る女」より 著者:有島武郎
らまた聞こえ出した波濤《はとう》の音は、前のように音楽的な所は少しもなく、ただ物狂おしい騒音となって船に迫っていた。しかし葉子は今の境界がほんとうに現実の境界な....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
に憑《つ》かれたようにわなわなと顫《ふる》え出した。彼はもう堪まらなくなって、物狂おしいほどの大きい声で弟子の僧たちを呼びあつめた。 「すこし子細がある。お身た....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
してやろうかと思っているんですが……」 彼女は次第に神経が昂《たか》ぶって、物狂おしいほどに取りのぼせていた。ここでうっかり嗾《けしか》けるようなことを云った....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なったのである。 それほど苦心した甲斐があって、その計略は見ごとに成功した。物狂おしい奥方は、替え玉のお蝶を夜も昼もときどき覗きに来て、死んだ姫の魂が再びこの....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。 「潮が来る。颶風が来る」 かれの声はだんだんに激して来た。かれはいよいよ物狂おしいようになって、そこらじゅうを駈けまわって叫びあるいた。 「颶風がくる。潮....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
堪え難い憎しみを抱いて、故郷へ帰る……けれども父親の冷たいもてなしは、彼女の心を狂おしいまでに掻き立て、そして夜ごと日ごとに沖合をとおる夢のような船の姿は、彼女....
ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
た。しかし、近ごろになって、私はまるで酒びたりになり、それが自分の遺伝的な気質に狂おしいくらいの影響を与えて、いよいよ自分を抑えきれなくなった。私は不平を鳴らし....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
」 彼の全身ふるえている。 「マニ妙光。マニ妙光」 頭上に手をすり合わせる。狂おしい有様である。ふと頭をあげて、光秀と半平を見すくめて、 「コラ! お前ら、....
」より 著者:秋田滋
えることの出来ない、溢れるばかりの情熱をもって彼女を愛していたのであります。もの狂おしいまでに熱愛していたのであります。 わたくしがこれから申し述べますことを....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
うな物悲しさがあるよ。男がそうなんだ。郷土的な、宿命的なものの責任を一人で負って狂おしいまでにあやつられているようなところがあるよ。私のお目にかかったお嬢さん方....
狂人日記」より 著者:秋田滋
ものが今死ぬという際に発する苦しそうな叫び声のような、何だか解らない、悲痛な、物狂おしいものが、ひっきりなしに耳に這入ってくる。それはまた、足をむずむず歩く。足....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ったが――その希望は連日の戦争において裏切られなかったわけである。ズッフェンの物狂おしい攻撃で、彼ももっとも勇敢な一人であって、その戦いのあとで彼はレスターから....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ェレス登場。 ファウスト 己は気違染みた魔法|騒は気に食わぬ。 この物狂おしい混雑の中で 己の体がなおると、君は受け合うのか。 己に婆あさんの指図を受....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
のアル中的空想に囚われたりしたが、結局自分はその晩の光景に圧倒され、ひどく陰鬱な狂おしいような気持で、十二時近く外へ出たのだった。…… 自分はその前年の九月の....