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「狂風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

狂風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
のような五百重の大波はたちまちおい退けられて漣一つ立たない。どっとそこを目がけて狂風が四方から吹き起こる‥‥その物すさまじさ。 君たちの船は悪鬼におい迫られた....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
祠の祭りのときに自分も参詣し、わざと俳優に三国志の演劇を演じさせると、たちまちに狂風どっと吹きよせて、演劇の仮小屋の家根も舞台も宙にまき上げて投げ落したので、俳....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
れも座間が疲労を癒す物見遊山としか考えていない。 カークも、大湿林の咆吼をよぶ狂風を感じはするが……、死を賭して、不侵地悪魔の尿溜をきわめようなどとは、夢にも....
映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
レコードや、ダイアルの回転があるほかに、新工場開場式のクライマックスに吹き起こる狂風の複雑な旋転的乱舞がやはり全編の運動のクライマックスを成しているのである。そ....
銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
きればどこかでネオンガスの買い占めが起こるかもしれない。しかし、降雹がなくとも、狂風にあおられた街頭の雑品が飛んで来てぶつかれば結果は同様である。その時のために....
ジャーナリズム雑感」より 著者:寺田寅彦
のできない人間の力では、この人文的自然現象をどうすることもできないのである。この狂風が自分で自分の勢力を消し尽くした後に自然になぎ和らいで、人世を住みよくする駘....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
しよりもっと寒さがひどいのでした。そのふれるもの一切を凍らせずにはおかないような狂風。――闇の中を、ときどき蝙蝠がとびまわるのでした。ルーベンスの画の下にふたり....
獄中消息」より 著者:大杉栄
繰返して読むつもりだ。猟人日記の持主に、あれを出る頃まで借りられるか尋ねてくれ。狂風がフランス語をやってるのは感心感心。若宮、守田など病気如何に。社会にいるもの....
五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
の花を吹きちぎり、ついでに柔らかい銀杏の若葉を吹きむしることがあるが、不連続線の狂風が雨を呼んで干からびたむせっぽい風が収まると共に、穏やかにしめやかな雨がおと....
猫の穴掘り」より 著者:寺田寅彦
文明の発達と聯関しているようである。 小さな不連続線が東京へかかったと見えて、狂風が広小路を吹き通して紳士の帽を飛ばし淑女の裾を払う。寒暖二様の空気が関東平野....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
臓の鼓動を、騒がしい血液の音を、耳に聞いた。荒れ狂う風の打撃を、顔に感じた。その狂風は、あるいは吹きつのって吠えたて、あるいは強大な意力にくじかれて突然やんだ。....
マーカス・ショーとレビュー式教育」より 著者:寺田寅彦
いた。 ある日曜日の朝顕著な不連続線が東京附近を通過していると見えて、生温かい狂風が軒を揺がし、大粒の雨が断続して物凄い天候であった。昼前に銀座まで出掛けたら....
南極の怪事」より 著者:押川春浪
りなりしぞ。空には断雲の飛ぶ事矢のごとく、船は今想像もできぬほどの速力をもって、狂風に吹かれ怒濤を浴びつつ走りいるなり、されど余の驚きしはその事にあらず、見よ!....
暗黒星」より 著者:黒岩涙香
は更に起これり。大風は募り募りて暴風となり、台風となり、開闢以来、記録に存せざる狂風となれり。家の吹き潰さるるもの、数を知らず、堅固にして仆れざる如き家は家根を....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ただし怒濤船をゆらし、横浜出航以来、食卓にワクをはめたるは今日をはじめとす。その狂風激浪の中に、悠然として雄飛するものは信天翁のみ。終日風雨やまず、夜に入りてさ....