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「狐疑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

狐疑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
乞食学生」より 著者:太宰治
ね、君は。」 「はだしで来たわけじゃ、ないだろうね。」私は尚《なお》も、しつこく狐疑《こぎ》した。甚だ不安なのである。 「ああ、陸の上は不便だ。」少年はアンダア....
古典風」より 著者:太宰治
れたような無慙《むざん》に深い立皺《たてじわ》がきざまれ、細く小さい二つの眼には狐疑《こぎ》の焔《ほのお》が青く燃え、侍女たちのそよ風ほどの失笑にも、将卒たちの....
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
深い諦念と理解に結ばれた愛情でもないという理由から、この王子の愛情の本質を矢鱈に狐疑《こぎ》するのも、いけない事です。王子は、心からラプンツェルを可愛いと思って....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
の心は無造作にできると明答した。文芸を三、四年間|放擲してしまうのは、いささかの狐疑も要せぬ。 肉体を安んじて精神をくるしめるのがよいか。肉体をくるしめて精神....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
てではあるが、とにかく形を取って生まれ出たと思うとうれしいのだ。 しかしながら狐疑は待ちかまえていたように、君が満足の心を充分味わう暇もなく、足もとから押し寄....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
コペルニクスの学説に対する教会の反抗はしかし結局は無効であった。デカルトは一刻も狐疑することなくコペルニクスの考えに賛成した。もちろんそのために彼は敵を得たが、....
姥捨」より 著者:太宰治
に少し大胆になり、大箱を二つ求めた。黒眼がち、まじめそうな細面の女店員が、ちらと狐疑の皺を眉間に浮べた。いやな顔をしたのだ。嘉七も、はっ、となった。急には微笑も....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ない。そこで此歌でも、毫もこだわりのない純粋な響を伝えているのである。もの云いに狐疑が無く不安が無く、子をおもうための願望を、ただその儘に云いあらわし得たのであ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ローザはどういうことが起こってるか、長く気づかないではいなかった。元来彼女には狐疑《こぎ》心がなかったし、嫉妬《しっと》の感情とはどんなものだかまだ知らなかっ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
んだ。また、みずから演劇の筋を立ててみることもあったが――(彼は何物にたいしても狐疑《こぎ》しなかったのである)――それは馬鹿げきったものだった。またゲーテやク....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
深く心に期するところがあった。これぞ神の告げたもうシルシであろう。慟哭をすてよ。狐疑をすてよ。逡巡をすてよ。汝の力足らざることを嘆くな。肝臓医者とよばれることこ....
学位について」より 著者:寺田寅彦
といったようなことも可能になるのである。 結局は、やればやり得る学位を、無用な狐疑や第二義的な些末な考査からやり惜しみをするということが、こういう不祥事やあら....
迷信解」より 著者:井上円了
して、卜筮は識者の目より見れば、もとより信ずるに足らぬものなるが、愚者にとりては狐疑して決せざる場合にいくぶんの用ありとするも、余は古き『易経』などによるに及ば....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、英雄ならばけっして持ってはならぬすべての性質――言い抜け上手、瓢箪鯰、不決断、狐疑、吝嗇などのおかげなのである。 実際、アンジュウ公と恋愛関係があるかのよう....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ますね。何でああ疑い深いでしょう。」と医専の一人が舌うちした。 「そこがいわゆる狐疑逡巡というやつだろう。」 褐色の尾の薄い青狐もいた。十字狐や赤狐もいた。そ....