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狡さ
「狡さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
狡さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
のではないかと疑いはじめた。実際はその逆で、多少不良性のある秀治が、その一流の小
狡さで誰にも気ずかれないようにたくみにみんなを引ツぱり廻しているのだつたが、佐太....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
あなたは。」私「ある女って誰ですか。」私も咄嗟の場合、詰となった。麻川氏は必死な
狡さで「ふふふふ。」と笑った。ふと、私はX夫人の事を思いついた。そして、巧な化粧....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
居るマネージャー始め食堂関係者等の慇懃な態度――彼等のその態度にはまったく皮肉も
狡さも無い。極めて従容とした自然な態度だ。如何にフランス人が客商売に適して居るか....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
とちがうところは、照れている状態の効果の損得を、損も得も心得ているという二十代の
狡さだ。 そして、春隆はその二十の最後の年齢に達していた。二十九という厄介な歳....
「文学的饒舌」より 著者:織田作之助
書けばいい。三十代は今まで自分に窓をあけるのを、警戒しすぎていた。これは三十代の
狡さだ。尻尾を見せることを、おそれてはならない。 新人が登場した時は、万人は直....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
うとあやぶまれながら、しかも最後まで生き延びた、というのは、偶然にも彼女の理知の
狡さがちょうど環境の複雑さに適合したのだった。フランスとスペイン間の力の平衡、フ....
「天馬」より 著者:金史良
子が、自分の態《ざま》によく似ているとでも考えているのだろうか。或はその図太さや
狡さが好ましく思われているのかも知れない。それにおやこれは今まで自分の首筋を這い....
「はつ恋」より 著者:神西清
喜んで彼女の言いなりになっていたのだ。溌剌として美しい彼女という人間のなかには、
狡さと暢気さ、技巧と素朴、おとなしさとやんちゃさ、といったようなものが、一種特別....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
る。深田が一番都会化して、それらを知的なものにしようとして中途半端ですが。そして
狡さもある、芸術家として。薄情かと云えばそうだとは云えず。やっかいなものです。平....
「伸子」より 著者:宮本百合子
ると、伸子はこうやって歩きまわらずにいられなくなるのだ。 佃は、彼一流の忍耐と
狡さから、形式上、昨日のことは昨日のことと、しようとしているのは明らかであった。....
「婦人と文学の話」より 著者:宮本百合子
兄を奪われ、一番惨めな境遇に立つのはプロレタリア・農民の女だ。しかも資本家地主の
狡さ極まりないことには、こうして搾りつけるに便利なようにと、処女会だの御用雑誌だ....
「私たちの建設」より 著者:宮本百合子
と亭主を尻にも敷いている。狂言の行中には、いつも少し魯鈍でお人よしな殿と、頓智と
狡さと精力に満ちた太郎冠者と、相当やきもちの強い、時には腕力をも揮う殿の妻君とが....
「性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
涯の短いだけ、それほど長い生涯の人の生活だけを短い間に仕尽して行ったような運命の
狡さを感じた。 「このごろ死ぬような気がしてしようがないんですの。」 「あんまり....
「上海」より 著者:横光利一
には御同情申し上げるより仕方がありませんが、しかし、それにしたって、工部局官憲の
狡さには、――」 彼はそういったまま黙った。彼は支那人をして支那人を銃殺せしめ....
「南北」より 著者:横光利一
持ていでのう。」 勘次は安次を待つのが五月蠅かった。ひとり出かけて行って秋三の
狡さを詰ろうかとも思ったが、それは矢張り自分にとって不得策だと考えつくと、今更安....