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狢
「狢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
狢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あ家《うち》を出られねえから、柄にもねえ信心参りなぞに出かけたに違げえねえ。あの
狢《むじな》野郎、途中で連れに別れたなんて云うのは嘘の皮で、始めから自分ひとりで....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るが、実は小高い丘に過ぎない。それでも古木や雑草がおい茂って、人を化かすような古
狢が棲んでいるなどという噂もある。その山を越えると、大きな旗本屋敷が三、四軒つづ....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
は畑になっておりましたが、それでもまだまだ広いあき地がありました。ここらには狸や
狢も棲んでいるということで、夜は時どき狐の鳴き声もきこえました。そういうわけで、....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
極めた天狗の宮は、獣の糞や足跡で見る蔭もなく汚されてしまい、窩人達の家々には狸や
狢が群をなして住み子を産んだり育てたりした。 こうして再び春となった。 野生....
「古狢」より 著者:泉鏡花
「でも、温泉といった方が景気がいいからですわ。そしてね、おじさん、いまの、あれ、
狢の湯っていうんですよ。」 「
狢の湯?……」 と同伴の顔を見た時は、もうその市....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
の獣も襲ってくるらしい。現に隣りの家では飼い鶏をしばしば食い殺された。それは狐か
狢の仕業であろうということであった。夕方のうす暗いときに、なんだか得体のわからな....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
は、簡素なる茶室も日光の東照宮も、共に同一の「有」の所産であり、詮ずれば同じ穴の
狢なのである。この精神から眺むれば、桂離宮が単純、高尚であり、東照宮が俗悪だとい....
「わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
いふものも、こんな風な、健康なものであつたに相違ない。人間の健康さだか、森の狸や
狢のやうな健康さなのだか知らないが、私は今でも忘れない。ヒョイと帽子をつかみとつ....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
瞬間に正気に返ったが、彼は静かに立ち上がり戸を開けて戸外を覗いて見た。 一匹の
狢が斃れている。頭が無残に割れている。 「この
狢という獣は自分の頭を木に打ちつけ....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
「おい!」 「へい」 「正体を出せ!」 「何で?」と立とうとするところを、 「
狢め!」と一喝浴びせかけ、引き出した十手で、ガンと真向を! …… 「あぶねえ」と....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
骨ではない、いずれも獣の頭であることが判った。その三つは犬であったが、他の二つは
狢か狸ではないかという鑑定であった。いつの時代に、何者が五つの獣の首を斬って埋め....
「穴」より 著者:岡本綺堂
の獣も襲ってくるらしい。現に隣りの家では飼い鶏をしばしば食い殺された。それは狐か
狢の仕業であろうということであった。夕方のうす暗いときに、なんだか得体のわからな....
「多神教」より 著者:泉鏡花
だな。解け、解け。 禰宜 (解きつつ)山犬か、野狐か、いや、この包みました皮は、
狢らしうござります。 一同目を注ぐ。お沢はうなだれ伏す。 神職 鏡――うむ、鉄輪....
「瘤」より 著者:犬田卯
濃厚な情調――多分――を味わった経験の持主と来ている上に、村の長老株もまた同穴の
狢ならざるはなく、学校長、各部落の区長にいたるまで何らかの意味で瘤の息がかかるか....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
対して別にマットと呼ばれる村民があって、ケットの者はそのマットの者を目してマット
狢と称し、人を騙すものとして恐れていたというのである。今去る九月に長野県|下水内....