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独り
「独り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
独りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
眼光をあげて、じっと秋をまたたいている燈火《ともしび》の光を見た。そうして、半ば
独り言のように、徐《おもむろ》にこう答えた。
「だから、英雄の器だったのさ。」....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
へ木を伐《き》りに行く時でも、仕事の合い間合い間には、腰にさしている笛を出して、
独りでその音《ね》を楽しんでいました。するとまた不思議なことには、どんな鳥獣《と....
「影」より 著者:芥川竜之介
《あか》るんで見えるのは、月が出ているからに違いない。現にその光を浴びた房子は、
独り窓の側に佇《たたず》みながら、眼の下の松林を眺めている。
夫は今夜も帰って....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
京からも失われた。私が再び頷《うなず》きながら、この築地《つきじ》居留地の図は、
独り銅版画として興味があるばかりでなく、牡丹《ぼたん》に唐獅子《からじし》の絵を....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
た。
「この国の霊と戦うのは、……」
オルガンティノは歩きながら、思わずそっと
独り語《ごと》を洩らした。
「この国の霊と戦うのは、思ったよりもっと困難らしい。....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
に空しくなった。……
寛文《かんぶん》十年|陰暦《いんれき》十月の末、喜三郎は
独り蘭袋に辞して、故郷熊本へ帰る旅程に上《のぼ》った。彼の振分《ふりわ》けの行李....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
ければ、居所《いどころ》も知らない。それ所か、国籍さえわからないんだ。女房持か、
独り者か――そんな事は勿論、尋《き》くだけ、野暮《やぼ》さ。可笑しいだろう。いく....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
り出すと、ほとんど毎夜の事ながら、気疲れを感ぜずにはいられなかった。と同時にまた
独りになった事が、多少は寂しくも思われるのだった。
雨が降っても、風が吹いても....
「女」より 著者:芥川竜之介
かしその円頂閣《ドオム》の窓の前には、影のごとく痩《や》せた母蜘蛛が、寂しそうに
独り蹲《うずくま》っていた。のみならずそれはいつまで経っても、脚一つ動かす気色《....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
《のち》である。厠《かわや》へ行くのにかこつけて、座をはずして来た大石内蔵助は、
独り縁側の柱によりかかって、寒梅の老木が、古庭の苔《こけ》と石との間に、的※《て....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
計《おおどけい》とも絶縁だな。」
兄は尾張町《おわりちょう》の角へ出ると、半ば
独り言のようにこう云った。
「だから一高《いちこう》へはいりゃ好いのに。」
「一....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
人をつれて来い」 「あれは私の貰い子だよ」 婆さんはやはり嘲るように、にやにや
独り笑っているのです。 「貰い子か貰い子でないか、一目見りゃわかることだ。貴様が....
「狂女」より 著者:秋田滋
しもあんたが自分から進んで起きんようじゃったら、吾輩のほうにも考えがある。厭でも
独りで歩かせる算段をするからな」 しかし彼女は身動きひとつしなかった。相手の姿....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
りき。桜時なり、三社の祭りなり、賑い言わん方なしといえば、携え来りし着替を出し、
独り夕方より観音へ参詣し、夜に入り蕎麦店へ入りて京味を試み、ゆらりゆらりと立帰り....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
をふって、イカバッドは韋駄天走りのヘッセ人にさらわれてしまったのだと決めた。彼は
独りものだったし、だれにも借金はなかったので、もはやだれも彼のことで頭をなやまさ....