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独り居
「独り居〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
独り居の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
なに好い男なのかと、時々帳場格子のなかに坐っている良人《おっと》の顔を眺めたり、
独り居るときに、そんな思いを胸に育《はぐく》み温めていたりして、自分の心が次第に....
「新生」より 著者:島崎藤村
若葉へ来た。その雨の音のする静かさの中で、岸本はもう一度この事蹟を想像して見て、
独り居る無聊《ぶりょう》を慰めようとした。
七十六
そんな....
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
世にも目出度い御仕合わせ、 嬉しい事と思いつつ、楽しい事と思いつつ、 自分は
独り居残って、昨夜《ゆうべ》の夢の御姿《おんすがた》、 白いお髪《ぐし》の御方....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
持って来たX線の装置を壁に添い、静かに動かして呉れ給え。此の室は暗室にして、私が
独り居ましょう。お嬢様は外へ出ていらっしゃってもよろしいし、おいやでなければ此室....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
えるともなく、こんな話が舟の中で出た。 牡丹屋へ帰り着いてから、しばらく寛斎は
独り居る休息の時を持った。例の裏二階から表側の廊下へ出ると、神奈川の町の一部が見....
「李陵」より 著者:中島敦
かいう文字を書かなければならぬところに来ると、彼は覚えず呻《うめ》き声を発した。
独り居室にいるときでも、夜、牀上《しょうじょう》に横になったときでも、ふとこの屈....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
鋭い、明神様に、一昨日と、昨日、今日……」 ――誓ただひとりこの御堂に―― 「
独り居れば、ひとり居るほど、血が動き、肉が震えて、つきます息も、千本の針で身体中....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
や石を投げつけようとするものもない。 しかし犬が気持ちよく思うのはこの時もただ
独り居る時だけであった。人に摩られる時はまだ何だか苦痛を覚える。何か己の享けるは....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
、ふッと長田と私との間に坐っている右手の饗庭の顔を見ると、饗庭が、何とも言えない
独り居り場に困っているというような顔をして私の顔を凝乎と見ている。その顔を見ると....
「小さな旅」より 著者:富田木歩
て付けの終ったのは日没の太鼓が鳴り渡る頃であった。姉と妹とが銭湯へ出かけた留守の
独り居が徒然なので節句にとゝのえたと云う雛人形を見せて貰うことにした。 箱を出....
「狼疾記」より 著者:中島敦
われた。彼がまだ多少は健康で、肉体的な感覚に酔っていた時でも、今のような消極的な
独り居の生活を営んでいる時でも、常に、この底流の小さな響がパスカル風な伴奏となっ....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
を明らかにしなければならなかった。 その日の夕方プラスビイユがドーブレクの宅で
独り居残って綿密な捜査をしている処へメルジイが尋ねて来た。 プラスビイユの前に....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
いが」 むりに追うように、帝は、たって彼女を丘下へ返したのだった。そして深夜の
独り居を、ほっとしておいでになった。ところがなお濡れ縁の端に、白い女の顔がじっと....