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独り者
「独り者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
独り者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片恋」より 著者:芥川竜之介
ければ、居所《いどころ》も知らない。それ所か、国籍さえわからないんだ。女房持か、
独り者か――そんな事は勿論、尋《き》くだけ、野暮《やぼ》さ。可笑しいだろう。いく....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
引っ掛けた。田圃は寒かろうと古い頭巾《ずきん》をかぶった。妹がいなくなってから、
独り者の気楽さと不自由さとを一つに味わった彼は、火鉢の火をうずめて、窓を閉めて、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
になっていましょうか。見かけは若々しい人でございました」と、五兵衛は答えた。 「
独り者で、ほかに身寄りらしい者もないんですね」 「自分は孤児で、天にも地にもまっ....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
は一時就寝、十時起床で、その間、寝ていたには相違ないが、それを証明するに途のない
独り者だった。女たちも調べられたが、皆々昼間の疲れで熟睡したと申立てるばかりで、....
「赤外線男」より 著者:海野十三
リアが夜更けて自分の住居へ帰るときの外は、滅多に開かれはしなかった。深山理学士は
独り者の気楽さで、いつもこの研究室に寝泊りしていた。 「アラ先生、まあ面白いこと....
「蠅男」より 著者:海野十三
池谷さんには細君があるんでしょうネ」 「ホホホホ、まだおひとりだっせ」 「ナニ、
独り者ですか、これは変だ」帆村は笑いもしない。 「貴女、池谷さんに来いと呼ばれた....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
ア、そんなわけで、かれこれ一年たってしまいます。……ところが、ここに困った事は、
独り者の船員達はともかくも、根室に妻子を置いてある砲手の小森ですよ。むろんあの男....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
のがあった。店の姐さんは三娘子といい、どこから来たのか知らないが、三十歳あまりの
独り者で、ほかには身内もなく、奉公人もなかった。家は幾間かに作られていて、食い物....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
なんか如何なさいますの。 ――外で安飯を喰べてますよ。 ――大変ね。 ――
独り者の気楽さって処もありますよ。 墓地を出て両側の窪みに菌の生えていそうな日....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
兄弟があって阿富と名乗っていたら、それこそきっと阿貴に違いない。しかし彼は全くの
独り者であってみると、阿貴とすべき左証がない。その他 Quei と発音する文字は....
「虎」より 著者:岡本綺堂
係者の戸籍調べをして置く必要がある。由兵衛は浅草の山谷に住んでいて、ことし五十の
独り者。友蔵は卅一、幸吉は廿六で、本所の番場町、多田の薬師の近所の裏長屋に住んで....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
やどりを許すことになると、その夜なかに伊平は俄に発熱して苦しみ出した。 伊平は
独り者で、病気は風邪をこじらせたのであったが、幸いに娘が泊り合せていたので、彼は....
「恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
持っていて、身上もいい。主人はまだ若い。四年前に嫁を貰って無事に暮らしているが、
独り者の頃には多少の道楽もしたように聞いている。世間によくあるためしで、主人は船....
「廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
の商売用があって出て来たついでに、延津弥の家へちょっと立寄ったのである。表向きは
独り者といっても、延津弥がこうした旦那の世話になっているのは、その当時において珍....
「影」より 著者:岡本綺堂
く寝てしまえよ。 おつや あら、あたしを先へ寝かそうと云うの。この夜の長いのに、
独り者が今から寝られますかよ。(旅人に。)あんた、何時……。 旅人 (腕時計を....