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猫の額
「猫の額〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
猫の額の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
旅行! もちろん亜弗利加《アフリカ》内地旅行だの、両極探検だのに比すれば、まるで
猫の額を蚤《のみ》がマゴついているようなものであるが、それでも、口をアングリ開け....
「或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
に一本の河川が流れていると、河岸へ河岸へと水に向けて広がっていく。そして、水際に
猫の額ほどの空地もなくなると、第二段階としてその郊外に向けて農耕地域の上に触角を....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
て貰《もら》えるはずで内地からはるばる移住してきた人たちが、自分の土地ってものを
猫の額ほども持たねえで、自分たちが死ぬほど難儀して開墾した土地さ持っていって、高....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たが、閉った蔭に、床があれば有るらしい。 向うは余所の蔵で行詰ったが、いわゆる
猫の額ほどは庭も在って、青いものも少しは見える。小綺麗さは、酔だくれには過ぎたり....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
だというような調子だった。兄と僕は傍できいていた。 「何だい、たったあれっぽち、
猫の額ほどの田を買うて、地主にでもなったような気で居るんだ。」兄は苦々しい顔をし....
「琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
所謂知識階級と称する、介殻――大きいのは栄螺位、小さいのは蛤位の――見たいな家に
猫の額よりまだ狭い庭を垣根で仕切って、隣の庭がみえても見えない振りをしながら、隣....
「嵐」より 著者:島崎藤村
った。それほど私の家には女らしいものも少なかった。 今の住居の庭は狭くて、私が
猫の額にたとえるほどしかないが、それでも薔薇や山茶花は毎年のように花が絶えない。....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
やした」 志「実は私も人には云えねえが江戸を喰い詰め、医者もしていられねえから、
猫の額のような家だが売って、其の金子を路用として日光辺の知己を頼って行く途中、幸....
「海神に祈る」より 著者:田中貢太郎
には両親があるか」 「婆と女房と、子供が一人ございます」 「田畑でもあるか」 「
猫の額ぐらい菜園畑があるだけで、平生は漁師をしておりますから」 「そうか、それは....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ちっとも掘らねえのか」 「掘らねえとも。庭ッたッて、ここんちにゃア便所のまわりに
猫の額ほどのものがあるだけじゃないか。そんな臭い土が掘れるかよ。なア、角平あにい....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ッパぶきと重石だけは同じだけれども、独特の工夫もあるし、大きくもある。耕作面積が
猫の額ほどしかない山国の飛騨の農家がはるかに立派で、日本有数の米どころたる新潟や....
「道」より 著者:織田作之助
して断ってしまうらしい。私はいつ訪ねてもきっと足袋の裏と鼻の穴を黒くして帰った。
猫の額のような中庭に面して小窓がひとつきりあるのだが、窓といっても窓硝子を全部と....
「秋草」より 著者:島崎藤村
好きな薫だけは残った。わたしの家の庭で見せたいものは、と言ったところで、ほんとに
猫の額ほどしかないような狭いところに僅かの草木があるに過ぎないが、でもこの支那の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の常として、こうは思いがけずしばしば心を失うのである。 その間に軍鶏の健脚は、
猫の額のごとき店頭を往復することをもって満足が出来なくなった。 かつて黒旋風愛....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
て倒れていた。藪がひどくなると河原に下りて向う側に渡る、急斜面の小高い所を均した
猫の額程の平に、生々しい木の枝を組み合せた粗末な小屋が二つ、執念深い人間の生存慾....