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猶も
「猶も〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
猶もの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、一時は私の甥も途中から引き返そうと致しましたが、よもやに引かされて、しばらくは
猶も跡を慕って参りますと、丁度|油小路《あぶらのこうじ》へ出ようと云う、道祖《さ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
人のあとを尾《つ》けて来たのであるが、長三郎はもうそんな事は忘れてしまったように
猶も横町をながめていると、その思案の顔に鬢《びん》のおくれ毛のほつれかかって、ゆ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
半七もよく知らなかった。幸次郎は勿論知らなかった。二人は唯だまっていると、増蔵は
猶も語りつづけた。 「それでまあ不審は晴れたのですが、わたくしのような貧乏人が金....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の話し声が俄かに低くなって、外へはちっとも洩れなくなったので、二人は苛々しながら
猶も窺っていると、忽ちに女の悲鳴が起った。 「あれ、人殺し」 もう猶予は出来な....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
転台につかまった。根賀地が横手の扉をいちはやく開いて身体を車外にのり出すと怪漢は
猶も二三発、撃ち出した。かまわずスピードを出そうとする運転手に、 「ストップだッ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
の姿はまた元の犬にかえった。厩の者はいよいよ驚いたが、すぐには人には洩らさないで
猶も様子をうかがっていると、その後のある夜にも黒犬は馬に乗って出て、やはり暁け方....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
せようと企てた。しかし信長との戦では直に破れたので一旦許を乞うた。信長も許したが
猶も勝家等の諫を聴かずして叛こうとしたので、ついに信長、謀をもって之を暗殺した。....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
の抜刀隊奮戦して、薩兵数十人を斬って走らせたので、再び塁を占領出来た。 薩軍は
猶も之を取りもどそうと、大挙して押し寄せた。 官軍の抜刀隊は死骸を楯にして敵弾....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
ので、輝綱は怒って斬ろうとした。角之助は、敵手に斃れんより公の手に死なんと云って
猶も放さない。遂いに止められた。 信綱は徒らに兵を損ずるを憂えて、諸軍に令して....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
と解る。校長は喫驚りして 「お梅さんどうかしたのですか」と驚惶しく訊ねた。梅子は
猶も頭を垂れたまま運ばす針を凝視て黙っている。この時次の室で 「誰だ?」と老先生....
「幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
のです。彼は帰ると云いました。私は泣きじゃくりながらひきとめました。駅までゆき、
猶もひきとめました。丁度、作曲家の友人に出会い、彼もひきとめてくれたのです。喫茶....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
られるのと少しも違わない。それどころかほんの一寸した片言|隻語、たとえば「平次は
猶もあら縄たくり」と言う一句から、荒々しいものへの嫌忌の心を植えつけられ、「と言....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
した。堪忍して下さい。 (云いすてて、昭全は逃るように下のかたへ立去る。おいよは
猶もじっとその跡を見送る。風の音。向うより田原弥三郎、三十四五歳、以前は武士なれ....
「画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
頸の骨を挫いて死んだ事があるさうです噺。そう聞いては猶々聞逃す訳には往かぬ、私は
猶も畳かけて、「それじゃア其の窓が祟るのだね」相手は笑って、「真逆そういう訳でも....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
う斯うなれば騎虎の勢いで、今更|後へは引返されぬ。巡査も頬に打撲傷を受けながら、
猶も二三|間進んで行くと、天井は少しく高くなって、初めて真直に立つことが能きた。....