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獄衣
「獄衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
獄衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「刻々」より 著者:宮本百合子
模型が、当時つかわれた拷問道具、手枷足枷などをつかって出来ている。茶っぽい粗布の
獄衣を着せられた活人形がその中で、獣のような抑圧と闘いながら読書している革命家の....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
うちには、身もだえのように、脈搏つ心のうねりがある。いがぐり頭になって、煉瓦色の
獄衣を着て、それでも歴史の前途はいとど明るし、という眼色でいる重吉は、このうねる....
「風知草」より 著者:宮本百合子
しかきこえない高窓を見た。その下に体の大きい重吉がはげた赭土色《あかつちいろ》の
獄衣を着て、いがぐり頭で、終日そうやって縫っている。重吉の生きている精神にかけか....
「生きている古典」より 著者:宮本百合子
けいれられていていいはずの、この本の赤茶色が、日本では思想犯のきせられる煉瓦色の
獄衣の色に通じていた。過去十数年の間、ひどい時期には、この赤茶色の本は、たとえ一....
「共産党公判を傍聴して」より 著者:宮本百合子
、後れた労働者をよい労働者に仕上げて出すためのところと考えられているということ、
獄衣などないこと等、こまかく一つ一つ日本の有様とひき比べての演説は実に聞いていて....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
た。顕治が六月十六日網走刑務所へ送られるまでに、百合子は一度(六月一日)煉瓦色の
獄衣に変って、頭も丸刈にされた顕治に面会した。彼は作業として荷札つくりをはじめて....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
つけられ、荷車にのせられて、二十七日間の旅の後にそこについた。ツーロンで彼は赤い
獄衣を着せられた。過去の生涯はいっさい消え失せ、名前さえも無くなった。彼はもはや....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
二寸のふとんだけで、室は大寒の候にだけしかあたためられていなかった。恐ろしい赤い
獄衣を着ていた。ただ恩典としては、酷暑の折りに麻のズボンをつけ、酷寒の折りに毛織....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ざいます。元来尊者は身に赤色の三衣を纒わねばならぬ御身分ですが、罪人となって白い
獄衣を着けて居られる上に荒繩で縛られたまま静かに坐禅して経を読んで居られましたが....
「雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
刑は、今終った。 黄昏の空に、眼隠しをされた死骸が、まだ四つ並んでいる。青い
獄衣が、血の縞になって、縒れていた。 があがあと、見物人は、なだれ押しに、帰っ....