珍宝[語句情報] »
珍宝
「珍宝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
珍宝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
らに二人の上に休《やす》らひぬ。
噫《ああ》、うち寄せむ、胸と胸、これや変らぬ
珍宝《うづたから》、
美《うま》し契のこまやかにたとしへもなきこの刻《きざみ》....
「王成」より 著者:田中貢太郎
ろしゅうございます。」 王は笑っていった。 「たわけ者|奴。この鶉がどれほどの
珍宝で、千両の価があるのじゃ。」 「大王には宝ではございますまいが、私に取っては....
「未亡人」より 著者:豊島与志雄
つまりすっきりしていないんですね。すっきりした未亡人、これは特別なもので、謂わば
珍宝で、めったにあるものではありません。あなたがその
珍宝の一人だと自惚れてはいけ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
う。この黒蝶貝からは稀に黒色の真珠が現れることがあって、それは殆ど値に限りのない
珍宝である。 今村は冷静な現実家で、夢想癖には無縁の男であったから、木曜島にい....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
うに豪勢な羽ぶりができなくなっていたのです。五ツの土蔵に一パイつまっていたという
珍宝の数々も概ね人手に渡って、残ったのは概ねガラクタらしく、おまけに焼いた古文書....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
あるでしょうか。私は彼の趣味を知っていますが、彼が五万円を投じても惜しまぬほどの
珍宝は今のところその仏像しか考えられないと信じるのです。そして泥棒が人を殺しても....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
ていた征矢野家を、一時に隆盛にしたのですからな。修験道から云う時は『狐狗狸変様蒐
珍宝』――と云うことになりますので」 「さようで」と商人はすぐに応じた。「商法の....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
驚くべき巨船を造り、船内の構造をすべて宮殿のごとく華麗にし、それに古代のあらゆる
珍宝貨財と、百人の勇士と百人の美人とを乗せ、世界の諸国を経めぐらんとその国の港を....
「人の首」より 著者:高村光太郎
無類な先天の美がある。室生犀星氏の首には汲めども尽きない味がある。彼の顎と眼とは
珍宝である。ヨネ ノグチ氏の首も十目の視る所で、氏の顱頂は殊に美しい。概して詩人....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
鑵の快よい光! 山本山と銘打った紅いレッテルの美わしさ! 彼はその刹那に、非常な
珍宝にでも接した時のように、軽い眩暈すら感じたのであった。 彼は手を附けたらば....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
れを描くのがたのしみでね」 と、件の男は言うのである。 「こりゃ二度と見られん
珍宝なもんやよって、みんなにもみせておやり」 私は母にそう言われて、家の者を集....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
日、晴れ。戴冠式場たるウェストミンスター・アベーを拝観す。式日当時の実況を示し、
珍宝貴什を陳列せり。 十二日、快晴。水晶宮に往復す。イギリス領植民地の陳列館あ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
スは麻縄で
身を縛らせたのだ。
(蟻につきて云ふ。)
これが
珍宝を蓄えたのだ。
(グリップスにつきて云ふ。)
そしてこれが忠実に、間違な....
「俗臭」より 著者:織田作之助
造がいかん言うようなとこイ何も娘をやらんでもえゝ。厚子を着た商売人なら千恵造とも
珍宝とも、ギャア/\いわんやろ。商売人にやったらいゝ。商売人ほど――」 以下、....
「特殊部落と寺院」より 著者:喜田貞吉
くエタとして擯斥せられていたのであった。 自分は仏教の事をよく知らぬが、「妻子
珍宝及王位、臨命終時不随者」と観ぜられて、太子の尊き位を遜れ給うた釈迦牟尼世尊に....