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珍重
「珍重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
珍重の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
代《てだい》の一人も、確か甚内と名乗っていました。また利休居士《りきゅうこじ》の
珍重《ちんちょう》していた「赤がしら」と称える水さしも、それを贈った連歌師《れん....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
西洋にも今は一人もあるまい。佐藤春夫《さとうはるお》にでも紹介してやったら、さぞ
珍重《ちんちょう》することであろう。僕は老人に話しかけた。
「町のそとへ一足《ひ....
「星座」より 著者:有島武郎
よがしだ。あれで色気が出なかったら出る色気はない。中央寺の坊主のいい草ではないが
珍重珍重だ。おぬいさんがあのXの全量を誰かに滴らす段になってみろ……。渡瀬は思わ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
は全く不可能である。私は凡ての活動に於て、全体として生長するばかりだ。花屋は花を
珍重するだろう。果物屋は果実を
珍重するだろう。建築家はその幹を
珍重するだろう。然....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
栄養物を求めるような場合に至って、そこで初めて草木の実や、食用に適する根の類をも
珍重することを覚えたのであろう。もっともこれらはただ応急のものであって、多分主と....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
米が烈々と炭を継ぐ。 越の方だが、境の故郷いまわりでは、季節になると、この鶫を
珍重すること一通りでない。料理屋が鶫|御料理、じぶ、おこのみなどという立看板を軒....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
あげ、お汁をチュッと吸ってから、そう云った。 「大蘆原軍医殿は、この栄螺の内臓を
珍重されるようだが、僕はこんな味のものだとは、今日の今日まで知らなかった」と、星....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
の切抜で下らぬものばかりである。こんなものさえ大切にスクラップ・ブックへ貼付けて
珍重する日本では、残念ながら猶だ/\当分の中は外国書籍のお庇を蒙らねばならない。....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
言われた、その董、露草などは、金銀宝玉の類は云うまでもない、魚類ほどにも、人間が
珍重しないものと聞く。が、同じく、あの方へ遣わしたものか。 僧都 綾、錦、牡丹、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
家の苗字を世に知らせ、またその生国としてこの地の名をも挙るものなれとて、いよいよ
珍重して教えられ、人に逢えばその事を吹聴さるるに予も嬉しき事に思い、ますます学問....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、そこに置いてある自分の書籍を忘れずに取り出してくれ。これらの書籍は旧に倍しても
珍重するから」と書いてやった。また自分の属する教会の長老には寺院のお祭りや謝肉祭....
「荘子」より 著者:岡本かの子
るのだった。つまり貞淑らしい貞淑は在来の「道らしい道」に飽きた荘子にとって無上の
珍重すべきものではなかった。悧巧な田氏は夫の自分に対するその心理さえ薄々知って居....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
誓願寺前|茗荷屋九兵衛の名が見える。みょうが屋の商牌は今でも残っていて好事家間に
珍重されてるから、享保頃には相応に流行っていたものであろう。二代目喜兵衛が譲り受....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ツルゲーネフの偉大と二葉亭の訳筆の価値とを確認した読者は崑山の明珠を迎うる如くに
珍重愛惜し、細さに一字一句を翫味研究して盛んに嘖々した。が、普通読者間にはやはり....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
「拝啓、菊花の候益々御多祥奉賀候、就ては来る十月十五日拙宅において、いささか祖先
珍重いたせし物、当家としては家宝とも称すべき品々、展観に供え、その節御希望の品も....