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現世
「現世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
現世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
を守らなければ、(突然|真面目《まじめ》に)「いんへるの」の猛火に焼かれずとも、
現世《げんぜ》に罰《ばち》が下《くだ》る筈です。
もう二年あまり以前の話ですが....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
康頼《やすより》は怒《おこ》ったぞ。ああ云う大嗔恚《だいしんい》を起すようでは、
現世利益《げんぜりやく》はともかくも、後生往生《ごしょうおうじょう》は覚束《おぼ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
送る状《さま》に彳《たたず》んだ婦《おんな》がある。 一目見て、幼い織次はこの
現世《うつしよ》にない姿を見ながら、驚きもせず、しかし、とぼんとして小さく立った....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
消え入るような、さびしい、さえた音がことになつかしい。不思議な誘惑の世界から突然
現世に帰った人のように、君の心はまだ夢ごこちで、芸術の世界と現実の世界との淡々し....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
権力と輿論とは智的生活の所産である。権威と独創とは本能的生活の所産である。そして
現世では、いつでも前者が後者を圧倒する。 釈迦は竜樹によって、基督は保羅によっ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ていなければならないはずである。しかるに我々の日常の経験するところから見るとこの
現世界はまだこの悲運に出会っていない。それで当然の帰結として永劫観念は根拠のない....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
を揺って、 「しいッ、」 「やあ、」 しっ、しっ、しっ。 この血だらけの魚の
現世の状に似ず、梅雨の日暮の森に掛って、青瑪瑙を畳んで高い、石段下を、横に、漁夫....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
にあらわして、はっきりと力強く言った。 「まあ聞け、外国のお客さん。わしの領土は
現世の領土であり、わしの人民は生きた人間ばかりで死んだ人間などは一人もいない。し....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ままを、作らず、飾らず、素直に申述べることにいたします。それがいささかなりとも、
現世の方々の研究の資料ともなればと念じて居ります。何卒あまり過分の期待をかけず、....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
べく、特にその人に附けられる。又|或る霊は、理想型の人間を造るべく、自から進んで
現世に降ることもあるが、これは高級霊にとりて、特に興味ある仕事である。時とすれば....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
るのに気づき出した。それは僕にも覚えのある親和力の一例に違いなかった。同時に又|
現世を地獄にする或意志の一例にも違いなかった。しかし、――僕は又苦しみに陥るのを....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
んて何だか予約されていた名前への様にも想われるがそうではない。かかる名探偵作家を
現世が産み出したことこそ夢の様ではないか、予約されていたとするならば即ちこれこそ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ま、跣足で、雨の中を、びたびた、二町ばかりも道案内をしてくれた。この老女の志、(
現世に利益、未来に冥福あれ、)と手にした数珠を揉んで、別れて帰るその後影を拝んだ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
骸は少しずつの呼吸を始め、やがて幽に眼を開き、糸よりもなお声細く、「ああ、これが
現世の見納かなあ。得たりと医師は膝立直して、水薬を猪口に移し、「さあこれをお飲み....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ろう。僕はO君と話しながら「※湘のように悠々と時代を超越していることは出来ない。
現世は実に大川さえ刻々に工業化しているのである。 しかしこの浮き桟橋の上に川蒸....