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現身
「現身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
現身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
は感じた。 そんな時朝鮮の鈴は、喬の心を顫《ふる》わせて鳴った。ある時は、喬の
現身《うつせみ》は道の上に失われ鈴の音だけが町を過るかと思われた。またある時それ....
「富士」より 著者:岡本かの子
匂いで、人の見《まみ》ゆる方が多くなった。水にひたす影に於てこそ、もっとも女神の
現身《うつしみ》をみることができる。 見ぬ恋に憧れたあちこちの若い河神たちが、....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
で落着、宿の主人は罪を免かれた。 道中では心得て置くべき事である。 関帝
現身 順治丙申の年、五月二十二日、広東韶州府の西城の上に、関羽がたちまち姿をあ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
、「香具山は畝傍を愛しと、耳成と相争ひき、神代より斯くなるらし、古も然なれこそ、
現身も妻を、争ふらしき」というのであるが、反歌の方は、この三山が相争った時、出雲....
「夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
、そして匂いが全てなのだ。すくなくともタクミにとってはそれが全てであるし、オレの
現身にとってもそれが全てであろう。三年昔、オレがヒメの顔に見とれたときから、それ....
「三十歳」より 著者:坂口安吾
田津世子が何事を通してそのような大人になったか、私には分らぬけれども、彼女が私の
現身に見出し、見すくめ、意地わるくその底までもシャブリつゞけていたものは、私が見....
「私の小説」より 著者:坂口安吾
本の封建思想を完成せしめた孔子は実に自由人であり、永遠の現代人であり、而して彼の
現身は保守家ではなく、反逆者であつた。彼は自由を闘つた反逆者だ。 キリストもま....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
はすりむいたであらう。然し、ヒロシがその胸にだきしめてゐる品格の灯はその卑小なる
現身と交錯せず、彼はたぶんその
現身の卑しさを自覚してはゐないのだ。彼は胸の灯をだ....
「二合五勺に関する愛国的考察」より 著者:坂口安吾
者であり、その愛国の情熱はカイビャク以来のものであることを確信し、今日諸嬢諸氏の
現身がいかほどぐうたらでだらしなくとも、断々乎として、自信、自愛せられんことを。....
「わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
い。私の健康さの全部のものを作品に捧げつくして、その残りカスが私というグウタラな
現身なのだよ、と誇示し得ないこともないのである。諸氏よ、精神異常者の文学だの、意....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
影のように後からついて来て、彼を見まもっていた。眼をつぶると、彼女の面影がまるで
現身のようにまざまざと見え、しかも以前より美しく、若やいで、あでやかさを加えたよ....
「文学のふるさと」より 著者:坂口安吾
く、救いのないものだと思います。この暗黒の孤独には、どうしても救いがない。我々の
現身は、道に迷えば、救いの家を予期して歩くことができる。けれども、この孤独は、い....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
トコトンまで扮しなければならぬ。舞台の上に新しく生れた一人物になりきって、己れの
現身を捨てきらねばならぬ。舞台の芸術はそういうものだが、異性に扮することは、すで....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
楽家だのと云ったって、その他人にすぐれているのは詩と音楽についてのことで、ナマの
現身はそうは参らん。
現身はみんな同じこと。否、
現身に属する美点欠点にも差はあるだ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
めに潰れるかも知れない。だが、それが何だ。五百年間一人も抱かなかった生命の慾望を
現身に意識づけたということだけでもわたしたちは幸福じゃないか。潰れて死ね、富士も....