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「瑣事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

瑣事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
昔に礼譲に富んだ紳士になり、世界も亦とうの昔に黄金時代の平和を現出したであろう。瑣事 人生を幸福にする為には、日常の瑣事《さじ》を愛さなければならぬ。雲の光....
悟浄歎異」より 著者:中島敦
の事柄があまりに多いがゆえに精神統一が至難であるに反し、野獣は心を労すべき多くの瑣事《さじ》を有《も》たず、したがってこの統一が容易だからである、云々《うんぬん....
こころ」より 著者:夏目漱石
意識していたのですから。しかも傍《はた》のものから見ると、ほとんど取るに足りない瑣事《さじ》に、この感情がきっと首を持ち上げたがるのでしたから。これは余事《よじ....
行人」より 著者:夏目漱石
傍《そば》にいた小さな芳江までが嫂と同じように意味のある笑い方をした。 こんな瑣事《さじ》で日を暮しているうちに兄と嫂の間柄は自然自分達の胸を離れるようになっ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、索状が上向きにつけられている。そうしたら、こんな結節の一つ二つなんぞは、恐らく瑣事にもすぎんだろう。しかし、古臭いフォン・ホフマンの『法医学教科書』の中にも、....
心の河」より 著者:宮本百合子
った。こういう偶然の暗合が、自分達にだけ授けられた天恵だとも思わなかった。家庭の瑣事の一つであろう。幾万とある屋根屋根の下で、しばしば起る日常茶飯のことではある....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
わけである。全くむつかしいものである。 この集の内容は例によって主として身辺|瑣事《さじ》の記録や追憶やそれに関する瑣末《さまつ》の感想である。こういうものを....
連環記」より 著者:幸田露伴
あった。死に瀕したおぼえのある人は誰も語ることだが、将に死せんとする時は幼き折の瑣事が鮮やかに心頭に蘇えるものだという。晴れた天の日の西山に没せんとするや、反っ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
て、小形の長火鉢で、燗もつき、鍋も掛ったのである。 「あれはね、いいかい、這般の瑣事はだ、雪折笹にむら雀という処を仕方でやったばかりなんだ。――除の二の段、方程....
海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
かに降り濺いで 長い日でりに乾いた土壤を潤せ。 嵐よ 仮借なく吹き捲って 徒らな瑣事と饒舌に曇った私の頭脳を冷せ。 春三月 発芽を待つ草木と 二十五歳、運命の隠....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
ていた。生の愉しさ? それは単に病気そのもののけだるさ、そのために生じるすべての瑣事《さじ》に対する無関心のさせる業だろうか。或は抑制せられた生に抗して病気の勝....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ら、越前なんとなく気にかかってならぬ。いや、奉行の職義から申せば市井《しせい》の瑣事《さじ》すなわち天下の大事である。そこで大作、この婦人の失踪に関連して何ごと....
次郎物語」より 著者:下村湖人
おさえ、向こう見ずの行動に出る危険をまぬがれることができたし、また、かれが日常の瑣事に注意を払い、その一つ一つに何等かの意味を見出そうと努力するようになったのも....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
では恐らく馬琴が盲したのを全く知らなかったろう。一体が何事にも執念く、些細な日常瑣事にすら余りクドクド言い過ぎる難があるが、不思議に失明については思切が宜かった....
千里眼その他」より 著者:中谷宇吉郎
《ようえい》している或《ある》種の雰囲気を思わすのである。そういういわば人事的な瑣事《さじ》は科学の研究の前には問題とするに足らないというのは、科学がまだ十分に....