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瓜の蔓
「瓜の蔓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
瓜の蔓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
、萩の花の打ち乱れて、人まち顔なるも有り、青|無花果の、枝も撓わわに生りたる、糸
瓜の蔓の日も漏さぬまでに這い広がり、蔭涼しそうなるも有り、車行早きだけ、送迎に忙....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
なしに、前栽もの、実入はない。二十六、七の若いものに、畠いじりは第一無理だし、南
瓜の蔓は焚附にもならぬ。町に、隠れたる本草家があって、その用途を伝授しても、鎌を....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
かつかと、真白い跣足で背戸へ出ると、母屋の羽目を、軒へ掛けて、森のように搦んだ烏
瓜の蔓を手繰って、一束ねずるずると引きながら、浅茅生の露に膝を埋めて、背から袖を....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
。西手な畑には、とうもろこしの穂が立ち並びつつ、実がかさなり合ってついている、南
瓜の蔓が畑の外まではい出し、とうもろこしにもはいついて花がさかんに咲いてる。三角....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
事に保つかといささか不安を感じていたところが、棚はその秋の強い風雨にも恙なく、糸
瓜の蔓も葉も思うさま伸びて拡がって、大きい実が十五、六もぶらりと下がったので、私....
「西瓜」より 著者:岡本綺堂
しまったのだ。」 彼は先に立って案内してくれたが、成程そこらは一面の茶畑で、西
瓜の蔓が絡み合っていた昔のおもかげは見いだされなかった。広い空地に草をしげらせて....
「家」より 著者:島崎藤村
働いた。 裏の畠には、前の年に試みた野菜の外に茄子、黄瓜などを作り、垣根には南
瓜の蔓を這わせた。ある夕方、三吉が竹箒を持って、家の門口を掃除したり、草むしりを....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いて、美濃の盆地の豊饒を語らないものはない。今をさかりの芋の葉だ。茄子の花だ。胡
瓜の蔓だ。 ある板葺きの小屋のそばを通り過ぎるころ、平兵衛は路傍の桃の小枝を折....
「黴」より 著者:徳田秋声
い言いした。 「どんな子が産れるでしょうね。私あまり悪い子は産みたくない。」 「
瓜の蔓に茄子はならない。だけど、どうせ、育てるんじゃないんだから。」笹村も言って....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
露だらけの早稲が一夜に一寸も伸びて見える。昨日花を見た茄子が、明日はもうもげる。
瓜の蔓は朝々伸びて、とめてもとめても心をとめ切れぬ。二三日打っちゃって置くと、甘....
「土地に還る」より 著者:豊島与志雄
伸びあがっていました。直吉自身の畑地にも、茄子の葉が光り、トマトの実が色づき、胡
瓜の蔓が絡みあい、菜っ葉が盛り上り、薩摩芋の根本の土がひびわれていました。 彼....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に立つってね」 「はい、はい」 「きりょうは、どうだね」 「左様でございますね、
瓜の蔓《つる》に茄子《なす》はならねえのでございますから」 「だって、お前、鳶《....
「太十と其犬」より 著者:長塚節
日は朝から焦げるように暑かった。太十は草刈鎌を研ぎすましてまだ幾らもなって居る西
瓜の蔓をみんな掻っ切って畢った。そうして壻の文造に麦藁から蔓から深く堀り込んでう....
「学者安心論」より 著者:福沢諭吉
り、仏の人民にして仏の政府あり。然らばすなわち今の日本人民にして今の政府あるは、
瓜の蔓に瓜の実のりたるのみ。怪しむに足らざるなり。 ここに明鏡あらん。美人を写....
「田端の汽車そのほか」より 著者:宮本百合子
焼けあと遠く目路がひらけた。九尺に足りないその裏通りのあちらの塀から這い出した南
瓜の蔓と、こちらの塀から伸びた南
瓜の蔓とを、どこの若い人のしたことか、せまい通り....