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甘える
「甘える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甘えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
煮《に》え切らない返事をした。
「姉さんから話していただけない?」
辰子はやや
甘えるように広子の視線を捉《とら》えようとした。
「わたしから話すったって、――....
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
「姐《ねえ》さん、お金をおくれよう。」
その少年はやはり抱《だ》きついたまま、
甘えるようにこう声をかけた。その声もまた不思議にも清太郎の声ではないかと思うくら....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
したろう。如何に憎悪に燃えた心で、眺めましたろう。殊に、妻の眼が第二の私の顔を、
甘えるように見ているのを知った時には――ああ、一切が恐しい夢でございます。私には....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
三時間駈出して行って来ようかと思う。どうだろう、君、迷惑をするだろうか。」 と
甘えるような身体つき、座蒲団にぐったりして、横合から覗いて云う。 「何が迷惑さ。....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
才ちゃんも泣いていました。 そしてね、今度の世は、妹に生れて来て甘えよう、私は
甘えるものが無い。弟は可羨しい、あんな大きななりをして、私に甘ったれますもの。で....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
仲介にして自分に近づく運命を持ち、そして自分の心をこれほど捉え、これ程自分に馴れ
甘える青年を、自分はもう何処までも引き寄せて愛撫し続けてやり度い心が、胸の底から....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
、口を慎もう」 「それがいいわ。お互のためですもの」 アンは、機嫌をなおして、
甘えるように、仏の腕にすがりついた。 列車はホームについていた。大時計を見ると....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
さあ、お退き、これ、そっちへ。) (いいえ、いいえ。) 否々をして、頭をふって
甘える肩を、先生が抱いて退けようとするなり、くるりとうしろ向きになって、前髪をひ....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
れば、神様のおぼしめしです。こんな身体を、構わんですわ。」 ちょっとなまって、
甘えるような口ぶりが、なお、きっぱりと断念がよく聞えた。いやが上に、それも可哀で....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
無かった。息子は二十三歳で、十代の時自分を生んだ母の、まして小児性を心得て居て、
甘えるどころではなくて、母の甘えに逢っては叱ったり指導したりする役だった。普通生....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
と萌黄の午前服で男を圧迫しながらマーガレットは爪磨きをして二日目の彫刻的な指先で
甘える。 「そのトーストを一枚、苺のジャムを塗ってね」 男の忠実に働く手とカフ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
行詰ってどちらへも片附かずに、揉む。 しなだれるんじゃない、媚びるんじゃない、
甘えるの。派手なんじゃない、騒々しいので、恋も情もまだ知らない、素の小児かと思う....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
て、実家の次兄、平松春樹が訪ねて来た。 「あら、お兄さん」 兄の顔を見ると急に
甘えるような気持ちなって、何ということなしに涙ぐんだ。ダイヤが欲しいのよ、と、口....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
タバタと達也が茶の間に飛び込んだ。ランドセルを背負ったまま、母の膝へ寄りかかり、
甘えるように顔をすりつけて云う。 「お母様、鷹狩見に行ってもいい?」 「どこへ行....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ならここへお泊まりなさい』と、しきりにすすめてくれる。で私も当分の間、その好意に
甘えることになった。 私は見よう見まねで稲荷ずしや、巻ずしを作り、娘と二人で大....