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甘さ
「甘さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甘さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
して進む。そして如何なる生命の威脅にもおびえまいとする。その時傷の痛みは私に或る
甘さを味わせる。然しこの自己緊張の極点には往々にして恐ろしい自己疑惑が私を待ち設....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
の黒い翼で人間の目から蔽うて手伝うとは悟り得ず、薄の中に隠したつもりの、彼奴等の
甘さが堪らん。が、俺たちの為す処は、退いて見ると、如法これ下女下男の所為だ。天が....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
禁断の果を、相馬の名に負う、轡をガリリと頬張る思いで、馬の口にかぶりついた。が、
甘さと切なさと恥かしさに、堅くなった胸は、自から溝の上へのめって、折れて、煎餅は....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
年上の方が、対向いになると、凄いようで、おのずから五体が緊る、が、ここが、ものの
甘さと苦さで、甘い方が毒は順当。 まあ、それまでですが、私の身に附いて心配をし....
「茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
和十一年一月三十一日の葉書を読んで、私がまず感じたのは、いつもながらの「世辞」の
甘さと「持ち上げ方」(つまり、「誉め方」)の巧みな事である、ところで、今、この文....
「家霊」より 著者:岡本かの子
出して来る過程の如何に味のあるものか、老人は身振りを増して、滴《したた》るものの
甘さを啜《すす》るとろりとした眼付きをして語った。それは工人自身だけの娯しみに淫....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
日に新鮮だった。血の気を増す苜蓿の匂いがした。肌目のつんだネルのつやをして居た。
甘さは物足りないところで控えた。 それで保志子は夫の愛を牛乳に感じて宜かった。....
「富士」より 著者:岡本かの子
島地の上へ平たく膨れ上っただけの山でした」 世の中は、ただうとうとと、あま葛の
甘さに感じられた。ただひとりぽっちが寂しかった。 幼い青春が見舞った。「環境《....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
を持って来てやったのよ。当ててご覧なさい」 柚木はこんな小娘に嬲《なぶ》られる
甘さが自分に見透かされたのかと、心外に思いながら 「当てるの面倒臭い。持って来た....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
らって、高津の坂を登って行く途々、ついぞこれまで味えなかった女親というものの味の
甘さにうっとりして、何度も何度も美しい浜子の横顔を見上げていました。 ところが....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
変っていて氷のかいたのをのせ、その上から車の心棒の油みたいな色をした、しかし割に
甘さのしつこくない蜜をかぶせて仲々味が良いので、しばしば出掛け、なんやあの人男だ....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
ば見られたが、豹一はふっと泣きたそうな表情を銀子の顔に見たように思った。きびしい
甘さに心を揺すぶられる想いで、豹一は銀子の顔から眼を離すのが容易でなかった。 ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
るどころではない、こっちも危いのだと、女のことに拘泥っていゝ気になっていた自分の
甘さを固くいましめた。警察の呼び出しは、しかし、自転車の鑑札|並に税金のことだっ....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
自分でもうぶに見せていた。 いわば、首ったけ侯爵などと綽名されるような、純情な
甘さの中に、女たらしの押しの強さをかくしていたのだ。――大して利口ではなかったが....
「蛍」より 著者:織田作之助
癖も少しはあった。 伊助の潔癖は登勢の白い手さえ汚いと躊躇うほどであり、新婚の
甘さはなかったが、いつか登勢にはほくろのない顔なぞ男の顔としてはもうつまらなかっ....