甘味[語句情報] » 甘味

「甘味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

甘味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
いる、異様な個体が成長しているのではないかとも考えられてくる。そして、一度憶えた甘味の舌触りが、おそらくあの烈しい生気と化していて、その靡《なび》くところは、た....
親子」より 著者:有島武郎
たりしていた。彼は野生になったティモシーの茎を抜き取って、その根もとのやわらかい甘味を噛みしめなどしながら父のあとに続いた。そして彼の後ろから来る小作人たちのさ....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
かったプリプリするものを挾みあげると、ヒョイと口の中に抛りこんで、ムシャムシャと甘味そうに喰べた。 「そうです、これは一種異様の味がするでしょう。お気に入りまし....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
むす子の顔をつくづく瞠入った。 むす子のこんなことすら頼母しがるお嬢さん育ちの甘味の去らない母親を、むす子はふだんいじらしいとは思いながら、一層|歯痒ゆがって....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
まったのである。これにはヤンも座間と同様おどろいたことだろう。しかし、彼は一夜の甘味をけっして忘れるような男ではない。どんなに白眼視され相手にされなくても、また....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
ら、答えられない」 この問題は懸案《けんあん》になった。 そこへ隆夫の母が、甘味《あまみ》のついたパンをお盆《ぼん》にのせてたくさん持って来てくれたので、三....
天守物語」より 著者:泉鏡花
血をなめる)汚穢や、(ぺろぺろ)汚穢やの。(ぺろぺろ)汚穢やの、汚穢やの、ああ、甘味やの、汚穢やの、ああ、汚穢いぞの、やれ、甘味いぞのう。 朱の盤 (慌しく遮る....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
、煎餅の飲食するのは、羨しくも何ともないでしゅ。娘の白い頤の少しばかり動くのを、甘味そうに、屏風巌に附着いて見ているうちに、運転手の奴が、その巌の端へ来て立って....
獏鸚」より 著者:海野十三
いた。もうすっかり初夏らしい陽気だった。ベンチの上で、帆村は莨に火をつけて、さも甘味そうに喫いだした。 「ところで帆村君、『獏鸚』はどうしたんだネ。一向出て来ん....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、露のようなよだれを垂し、 「牛肉のひれや、人間の娘より、柔々として膏が滴る……甘味ぞのッ。」 は凄じい。 が、かく菌を嗜むせいだろうと人は言った、まだ杢若....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
の女の親しみに酬いる最も好意ある方法だ。それで新吉は砂糖を入れ足すのを忘れている甘味の薄い茶を一杯飲み乾すとこう言った。 ――マダム。僕はね。料理にしますとあま....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
かさかさとした、丁度張子細工のような感じがするばかり、そこに現世で味わったような甘味も面白味もあったものではない。尚お汝は先刻、良人の後について行って、昔ながら....
雪柳」より 著者:泉鏡花
膝をよじって、胸を、くの字なりに出した吸付煙草。亭主が、ふっかりと吸います、その甘味そうな事というものは。…… 余計にがつがつして、息を切って萩寺の方へ出たで....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
用意にもと、宿から持って来た「サイダー」を一口二口飲みながら上る。「サイダー」は甘味があり粘りがあって極めて不味だ、かかる時は冷き清水に越すものはない、自然は山....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
つ出して仕舞いました。良人はそれを見るとやや嗄れたような中年男の声に、いたわりの甘味をふくめて、「ははあ」と軽く笑って云うのでした。 「一日中人中で式や挨拶やで....