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甘露
「甘露〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甘露の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
《そよ》ぎ、群雀《むらすずめ》の声、行人の顔、――あらゆる日常の瑣事の中に無上の
甘露味を感じなければならぬ。
人生を幸福にする為には?――しかし瑣事を愛するも....
「或る女」より 著者:有島武郎
《かれん》なのは岡の繊美なさびしそうな姿だった。岡は上手《じょうず》に入れられた
甘露《かんろ》をすすり終わった茶《ちゃ》わんを手の先に据《す》えて綿密にその作り....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
才という内の姉御が、お茶|聞しめせ、と持って出て、梅干も候ぞ。 「いかがですか、
甘露梅。」 と、今めかしく註を入れたは、年紀の少い、学生も交ったためで。 「お....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
もっともさ。 舌長姥 もし、通草、山ぐみ、山葡萄、手造りの猿の酒、山蜂の蜜、蟻の
甘露、諸白もござります、が、お二人様のお手鞠は、唄を聞きますばかりでも寿命の薬と....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
。恋の火の白熱は、凝って白玉となる、その膚を、氷った雛芥子の花に包んだ。姉の手の
甘露が沖を曇らして注いだのだった。そのまま海の底へお引取りになって、現に、姉上の....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
魃、市内はもとより近郷隣国、ただ炎の中に悶えまする時、希有の大魚の躍りましたは、
甘露、法雨やがて、禽獣草木に到るまでも、雨に蘇生りまする前表かとも存じまする。三....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
下さい。ありがたい、これは冷い。一気には舌が縮みますね。」 とぐっと飲み、 「
甘露が五臓へ沁みます。」 と清しく云った。 小県の顔を、すっと通った鼻筋の、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
悩み、のう、時候よければ蛙のように、くらしの蛇に追われるに、この年になるまでも、
甘露の日和と聞くけれども、甘い露は飲まぬわよ、ほほほ、」 と薄笑いした、また歯....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
て目を瞑ったが、半眼になって、傾きざまに膝を密と打ち、 「津々として玉としたたる
甘露の液と思うのが、実は膿汁といたした処で、病人の迷うのを、強ち白痴とは申されん....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
でありますから。―― またその手で、硝子杯の白雪に、鶏卵の蛋黄を溶かしたのを、
甘露を灌ぐように飲まされました。 ために私は蘇返りました。 「冷水を下さい。」....
「多神教」より 著者:泉鏡花
の忙しい酒じゃな。あはははは。おおおお、竜の口の清水より、馬の背の酒は格別じゃ、
甘露甘露。(舌鼓うつ)たったったっ、
甘露甘露。きゃッきゃッきゃッ。はて、もう御前....
「山吹」より 著者:泉鏡花
女様、この疼痛は、酔った顔をそよりそよりと春風に吹かれますも、観音様に柳の枝から
甘露を含めて頂きますも、同じ嬉しさでござります。……はたで見ます唯今の、美女でも....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
川の水でも可い、末期に一杯飲みてえもんだ、と思いましたがね、口へ入ったなあ冷酒の
甘露なんで。呼吸を吹返すと、鳶口を引掛けて、扶け出してくれたのは、火掛を手伝って....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ばさばさして歯に軋むばかりで、呼吸を湿らせるほどの雫にならない。氷がないんだよ。
甘露とも法雨とも、雪の雫が生命の露だって、お母さんが、頂戴々々というもんだから、....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
御新造さんのお酌で、いつも一杯の時の心持で。……どんなお酒だったでしょうね、熱い
甘露でしょう、……二三杯あがったと思うと、凍った骨、枯れた筋にも、一斉に、くらく....