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「甚く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

甚くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
我楽多玩具」より 著者:岡本綺堂
ません。何処の店の隅にも転がっているような一山|百文式の我楽多玩具、それが私には甚く嬉しいんです。 私の少年時代の玩具といえば、春は紙鳶、これにも菅糸で揚げる....
二階から」より 著者:岡本綺堂
持っているのであるから、奉公人としては先ず申分のない方であった。諄くもいう通り、甚く温順い女で、少し粗匆でもすると顔の色を変えて平謝りに謝まった。 彼女は「だ....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
間もなく日出夫の邸へ着いた。 思わぬ大勢の来客に日出夫の父は仰天したがまた甚く喜びもした。 誰も彼も空腹であった。日出夫の父は家内を探しあるだけの食物を....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
が松谷令嬢です」と引き合わせたが、叔父は立ち上って美人の顔を見るよりも、何の故か甚く打ち驚き、見る見る顔色を変えて仕舞ったが、頓《やが》て心まで顛倒したか、気絶....
鵞鳥」より 著者:幸田露伴
「イヤ割が悪いどころでは無い、熔金を入れるその時に勝負が着くのだからネ。機嫌が甚く悪いように見えたのは、どういうものだか、帰りの道で、吾家が見えるようになって....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
現してしまった。しかし腹の底にはこういう僻みを持っていても、人の好意に負くことは甚く心苦しく思っているのだ。これはこの源三が優しい性質の一角と云おうか、いやこれ....
観画談」より 著者:幸田露伴
家さえ出抜ければ、すぐお寺で。 礼をいって大噐|氏はその家を出た。雨はいよいよ甚くなった。傘を拡げながら振返って見ると、木彫のような顔をした婆さんはまだこちら....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
えるは大神の義にて、恐れ尊めるよりの称なれば、おもうに我邦のむかし山里の民どもの甚く狼を怖れ尊める習慣の、漸くその故を失ないながら山深きここらにのみ今に存れるに....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
楽を讃美する気持が作歌動機にあるのである。 ○ 春雨に衣は甚く通らめや七日し零らば七夜来じとや 〔巻十・一九一七〕 作者不詳 これは、女....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
の位の名幅を所持している者は、此の国にゃア領主にも有るまいとの評判で、お客振りも甚く宜しゅうございました」 作「皆良い道具が見たいから来るんだ、只呼んだって来る....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
て茂之助が死ねば宜いと思って居るのに、中々|悪達者で死なゝいのだよ、此間もお腹が甚く痛むと云うから、宜い塩梅だ、コレラに成るのかと思ったと云うは、悪いお刺身の少....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
斯うなるというと誠にお困りなさる、矢張あなたなんぞは結構のお身の上だけに、貧乏に甚く驚くと云うもんで……旦那様が妻恋坂下で三年|後に御切腹なすったと云うのだから....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
が、先達て職人の兼という奴が、鑿で足の拇指を突切った傷が破傷風にでもなりそうで、甚く痛むと云いますから、相州の湯河原へ湯治にやろうと思いますが、病人を一人遣る訳....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
師の店は浅草諏訪町へ転じました。これは森田町は往来広く空ッ風の強い日などは塵埃が甚くて、とても仕事が出来ないという有様なので、転居したのです。 まだ、その頃は....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
いう建物で、木口もよろしく立派な建物であったが、一時牛肉屋になっていたので随分|甚く荒らしてあった。これが売り物に出たのを師匠が買い取ったのであるが、その頃の売....