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「生う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

生うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
あっても千歳には何か飽足りないもどかしい感じだった。だが向き合ってみると亡き母に生うつしの姉だった。千歳は、そこにこの姉への懐しみといとしさを感じた。 千歳は....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
仙台の名産のうちに五色筆というのがある。宮城野の萩、末の松山の松、実方中将の墓に生うる片葉の薄、野田の玉川の葭、名取りの蓼、この五種を軸としたもので、今では一年....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
いた。 「なに、二、三年のうちに何とか解決をつけて、また出て来るよ。雪のなかに一生うずめられて堪るものか。」 こんなことを彼は言っていた。郷里へ帰った後もわれ....
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
自分から望んで小普請組にはいる者も無いではないが、無役では出世の見込みはない。一生うもれ木と覚悟しなければならない。年の若い外記が自分から進んで腰抜け役の小普請....
俗臭」より 著者:織田作之助
羅か、火種や油の加減をみるのに魂が乗り移ってしまう程の根気のよさよりも、左様に一生うだつの上りそうにもない彼等の不甲斐無さが先ず眼につくのだった。八月の下旬だっ....
わが町」より 著者:織田作之助
『無筆の片棒』一点張りではあきまへんぜ。今どき無筆やいうようなこと言うてたら、一生うだつがあがれへんぜ。――なあ、君ちゃん、そやろ?」 羅宇しかえ屋の婆さんは....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
る白鷺 人とはぬ冬の山路のさびしさよ垣根のそばにしとど下りゐて 末とほき若葉の芝生うちなびき雲雀なく野の春の夕ぐれ 冴えとほる風の上なる夕月夜あたる光に霜ぞ散り....
書記官」より 著者:川上眉山
掛けとしたるがところどころに見ゆ。岩を打ち岩に砕けて白く青く押し流るる水は、一叢生うる緑竹の中に入りて、はるかなる岡の前にあらわれぬ。流れに渡したる掛橋は、小柴....
俊寛」より 著者:菊池寛
も彼は、自分が植えつけた麦が成長するのが、一日千秋の思いで待たれた。 麦の畑に生うる雑草を取ることは、彼の半日の仕事として、十分だった。が、午後からは海岸へ出....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
た永遠の神性。 私はまた想像した、雪に埋れ、氷に閉され、伸びては枯れ、枯れては生うる林相の無常を。またその光明を。 あ、あれは何だ、あの赤い実の鈴生った蔓草....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
実在は差別無く、個体としてでなき渾一体の意志である。この渾一体の意志は下は路上に生うる一葉より、上は人間に至るまで、完全に現われている。たとえばその意志は幻燈の....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
れた古草にまじって、新しい春の草が生えて来るから、というので、「生ふるがに」は、生うべきものだからというぐらいの意である。「おもしろし」も今の語感よりも、もっと....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
なでて、妙な笑い方をした。彼は酒をあまり飲まないが水野左近に奉公した身の不運に一生うまい物も食いつけないから、草雪のもてなすあたり前の料理がうまくて大そう食いッ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
があけたのを待ちうけて、ずいと中へはいると、やにわに不思議な品を求めました。 「生うるしがあるだろう。なにか小つぼに入れて少しよこせ」 塗町とまで名のついた町....
創生記」より 著者:太宰治
ちな啓蒙、指導の態度、もとより苦しき茨の路、けれども、ここにこそ見るべき発芽、創生うごめく気配のあること、確信、ゆるがず。 きょうよりのちは堂々と自註その一。....