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生れ付き
「生れ付き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生れ付きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
深い。嫌だなと思うほど、女を撃《う》ち融《とろ》かす分量のものをもっている。女は
生れ付きの女の防禦心から眼をわきへ外らした。しかし身体だけは、ちょっと腰を前横へ....
「オシャベリ姫」より 著者:かぐつちみどり
うお姫さまがありました。 このお姫様は大層美しいお姫様でしたが、どうしたものか
生れ付きおしゃべりで、朝から晩まで何かしらシャベッていないと気もちがわるいので、....
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
第一篇 赤おうむ 一 銀杏《いちょう》の樹 昔或る処に一人の乞食小僧が居りました。この小僧は
生れ付きの馬鹿で、親も兄弟も何も無い本当の一人者で、夏も冬もボロボロの着物一枚切....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
。ところが、老先生にはこの両方の極端のところだけあって、中辺のじっくりした考えが
生れ付き抜けていなさる。これじゃ網のまん中に穴があるようなもので、利というものは....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
努めて紛らすために何か飄逸な筆つきを使う画家であった。都会児の洗練透徹した機智は
生れ付きのものだった。だが彼は邪道に陥る惧れがあるとて、ふだんは滅多にそれを使わ....
「殺された天一坊」より 著者:浜尾四郎
の答えはあの男の為には運命を一時に決してしまったのでございました。あの男は不幸に
生れ付きながら更に一番不幸な最後を、此の言葉が生み出す事を知らぬ程若かったのでご....
「枯菊の影」より 著者:寺田寅彦
達などもそう云っていた。しかし、それはただ表面に現われた性行の変りに過ぎぬので、
生れ付き消極的な性質は何処までも変らぬ。それでなければ今頃こんな消極的な俗吏にな....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
大抵十五歳前後より、その物のあるものぞと聞くに、妾は常に母上の心配し給える如く、
生れ付き男子の如く、殺風景にて、婦人のしおらしき風情《ふぜい》とては露ほどもなく....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
い一方のいい人です。娘たちもそれと同じように、子供の時からおとなしい、行儀のいい
生れ付きであったのですから、本来ならば姉妹ともに今頃は相当のところへ縁付いて、立....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
たのである。 こうして、この一つ家には父ひとりが取残された。 しかし源兵衛は
生れ付き剛気の男であった。打ちつづく不幸は彼に対する大打撃であったには相違ないが....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
そんなことが無いともいえねえ。いったいその助蔵というのはどんな奴だ。」 「助蔵は
生れ付きの百姓で、薄ぼんやりしたような奴ですが、女房のおきよというのはなかなかの....
「妾宅」より 著者:永井荷風
誠あるほど買ひもせず」と川柳子《せんりゅうし》も已に名句を吐いている。珍々先生は
生れ付きの旋毛曲《つむじまが》り、親に見放され、学校は追出され、その後は白浪物《....
「能面と松園さんの絵」より 著者:金剛巌
ものであるが、然し芸能の世界ではこの鈍勝ちは、鈍勝ちの実を結ばないので、芸能には
生れ付きの素質の良い事が大切な条件の一つになるので、生来芸能には鈍で、感の悪い、....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
の綻びをそこに見出すように余儀なくされるのである。それで、橘屋の娘にしたところで
生れ付き、金持ちの跡取り娘の脾弱い体質から、がっちりしたものに縋り度い本能があっ....
「彼が殺したか」より 著者:浜尾四郎
は後に知ったのですが、大寺の父は嘗て道子の父親に大変世話になって居た人でしたが、
生れ付き頑固な上に訴訟狂とでも云いますか、無暗《むやみ》に法律問題を起して争って....