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生れ落ちる
「生れ落ちる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生れ落ちるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
て、私は、明確におろそかであった。怠惰であった。一線、やぶれて、決河の勢、私は、
生れ落ちるとからの極悪人よ、と指摘された。弱い貧しい人の子の怨嗟《えんさ》、嘲罵....
「ロマネスク」より 著者:太宰治
いき》つきながらひとに語り、近所近辺の同情を集めた。三郎は母を知らなかった。彼が
生れ落ちるとすぐ母はそれと交代に死んだのである。いまだかつて母を思ってみたことさ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
きません、犬だっておりませんからお心安《こころやす》うござんしょう。
この人も
生れ落ちるとこの山で育ったので、何にも存じません代り、気のいい人でちっともお心置....
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
く》り返《かえ》されている。 単にそのためばかりでもあるまいが、私の両親は私が
生れ落ちると間もなく、私を里にやってしまった。その里というのは、無論私の記憶に残....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
た。かれは左の足をもっているだけで、右の足は膝の上から切断されているのであった。
生れ落ちるとからの不具ではない。さりとて何かの病いのために切断したのでもない。お....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
二川はお清さんと呼んでいた。朝子が病身で二川を育てる事が出来なかったので、二川が
生れ落ちるときから来ている乳母だが恰度朝子と同い年位で、器量も負けない位美しく、....
「家」より 著者:島崎藤村
も、ああして、よく直樹さんを背負って歩いたものだ」 と三吉は妻に話した。直樹は
生れ落ちるから、三吉の手に抱かれた人である。 「曾根さんが先刻訪ねていらっしゃい....
「新樹の言葉」より 著者:太宰治
あった。大歓喜。そんな言葉が、あたっている。くるしいほどの、歓喜である。 私は
生れ落ちるとすぐ、乳母にあずけられた。理由は、よくわからない。母のからだが、弱か....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
して説き出しました、 「わしは、今でもこういうロクでなしだから、そもそもこの世に
生れ落ちる最初から、このロクでなしの運命を持って生れて来たもので、わしの母親とい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。チュガ公という名になんらのよりどころと、つかまえどころがあろうとは思われない。
生れ落ちると同時に、 「番兵さん、名前を何とつけてやろうか知ら。チュガ公はどうだ....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
親戚にも、誰に向ってもそういう風にばかり話して来たが、実はあの不幸な娘のこの世に
生れ落ちる日から最早ああいう運命の下にあったとは、旦那だけは思い当ることもあった....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
の実の子だと云う事の出来ないのは何となし不都合な事の様では有ったけれ共、それとて
生れ落ちるとから離れて居たので、はっきりどうと云う程心に銘じて居は仕ないので、矢....
「安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
術を使う。むろん村民は百姓でふだんは野良を耕していることに変りはないが、かたわら
生れ落ちると剣を握って念流を習っているから、それぞれ使い手なのである。 諸国の....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
々の気息までも、寝ぐさい息吹きが濁し勝ちなのである。 短歌の宿命 何物も、
生れ落ちると同時に、「ことほぎ」を浴びると共に、「のろい」を負って来ないものはな....
「それから」より 著者:夏目漱石
て来て、ある点から云えば、驚ろく程寛大になった所もある。然《しか》しそれは代助が
生れ落ちるや否《いな》や、この親爺が代助に向って作ったプログラムの一部分の遂行に....