生乾き[語句情報] »
生乾き
「生乾き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生乾きの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
小僧の一人が揃えて出した日和下駄《ひよりげた》を突かけて、新刊書類の建看板が未に
生乾きのペンキの※《におい》を漂わしている後から、アスファルトの往来へひょいと一....
「俊寛」より 著者:菊池寛
彼らに、孤島生活の惨苦が、ひしひしと迫ってきた。毎日のように、水に浸した乾飯や、
生乾きの魚肉のあぶったものなどを口にする苦しみが、骨身にこたえてきた。彼らは、そ....
「道標」より 著者:宮本百合子
トの右はずれの建物の四階にあった。入口のドアをおして入ると、その大きい建物全体の
生乾きのコンクリートがスティームに暖められ、徐々に乾燥してゆく、洗濯物が乾くとき....
「私の感想」より 著者:宮本百合子
変遷して、今年のさんまは切ろうか丸かと問題になった。肩させ裾させの虫の声は、壁も
生乾きの家を争わねばならない幾百万の店子の耳にいかなる秋を告げるだろうか。 ....
「魔都」より 著者:久生十蘭
会食者が犯人かも知れぬという一点の疑問はこれで解消した。推察通り、犯人は料理場の
生乾きの壁に凭れていた、背の高い「第四の男」である。
「お前は、鶴子が風呂敷包の....
「肌色の月」より 著者:久生十蘭
がいのないところだから、いまのうちに着換えをすましておくほうがいい。 久美子は
生乾きのジャンパーや下着を腕の中に抱えとると、着換えをするために、二階の部屋へあ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ってこのとしよりを捨てておいたら、またどいつかが悪い量見を起さねえとも限るまい」
生乾きの着物を抱え、彼女を背なかに負ぶって、乾児の男が、半瓦のあとに尾いてそこを....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
彩色図なのである。 一見して、いけないと感じた。だが、祖師の眼光や、彩色の折、
生乾きの朱泥のうえに、強く太く引いた描衣の線のつよさに打たれて、凡手ではない――....