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生唾
「生唾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生唾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
木の腕から太い戦慄《せんりつ》が伝って来た。柚木の大きい咽喉《のど》仏がゆっくり
生唾を飲むのが感じられた。 彼女は眼を裂けるように見開いて「ご免なさい」と泣声....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
―あと見送りて政岡が……、ちらちらお君を盗見していたが、次第に声もふるえて来て、
生唾をぐっと呑み込み、 ――ながす涙の水こぼし…… いきなり霜焼けした赤い手....
「行人」より 著者:夏目漱石
。それでも胸の下の所には絶えず不安な自覚があった。ある時は変な顔をして苦しそうに
生唾《なまつばき》を呑《の》み込んだ。ちょうど彼の前に坐っていた「あの女」は、大....
「道草」より 著者:夏目漱石
水も呑《の》まずに、硬くて脆《もろ》いものをぼりぼり噛《か》み摧《くだ》いては、
生唾《なまつばき》の力で無理に嚥《の》み下《くだ》した。 ある時の彼はまた馭者....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
見は「呀ッ……」と驚いて壁ぎわに身をよせました。 「だ、だ、旦那様が……」勝見は
生唾をごくりと呑みこみました。 「ちがう。ちがうよ。奴は死んだか、どうだか、一寸....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
た。 「いや、そうじゃない。そうじゃない」 そして、わたくしの肩をぐさと掴み、
生唾を土手の若草の上に吐いて喘ぎながら言った。 「おやじが背負い残した家霊の奴め....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
で相打っているものでもあるかのような、見るも無残な苦闘だった。しかし、五、六度|
生唾を嚥み下しているうちに、サッと智的なものが閃いたかと思うと、伸子は高い顫えを....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
きりにあせっていた。が、どうしても、出そうとするものがすっかり出ないで、さい/\
生唾を蜜柑の皮の上へ吐きすてた。 彼女は、もう、すべっこくも、美しくもなくなっ....
「殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
」
林田が運転手に声をかけた。
声に応じて車が止ると、初江は口にふくんでいた
生唾を傍《かたわら》の砂の上にはいてほつとしたようだつたが、まだ苦しそうに下をむ....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
きたいものじゃな。うちの冷蔵庫の隅に尻尾ぐらいは残っていそうなものだ」 博士は
生唾をごくりと呑みこみながら、秘書を呼んで冷蔵庫を探させた。 「先生、尻尾どころ....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
空腹を感じて、ぶぶ漬を注文した。やらし人やなというKの言葉を平然と聞流しながら、
生唾をのみこみのみこみ、ぶぶ漬の運ばれて来るのを待っていると、やがて、お待ちどう....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
》のみである。が彼は手向かう。そして彼は剣をさがすがごとくに一語をさがす。彼には
生唾《なまつば》が湧く。そしてその
生唾こそ彼の求むる一語である。その異常なしかも....
「三重宙返りの記」より 著者:海野十三
と悟った。 機が地上に下りると、僕は急に胸先がわるくなって、むかむかしてきた。
生唾が、だらだらと出てきた。全身には、びっしょり汗をかいていた。だが僕は、大声で....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
。僕は陽気な君より、そういう時の冷たい君が好きだった。 小田島は、ごくりと一つ
生唾を呑んだ。 ――ねえ、イベット。国事探偵なんて君にはあんまり大役ですよ。君は....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
吉は黙って立ち上ると、カーテンを引いた。急に部屋の中が暗くなった。 信吉はふと
生唾をのみこんだ。椅子へ戻りかけに信吉はつと娘の肩に手を掛けた。娘はじっと動かず....