生垣[語句情報] »
生垣
「生垣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生垣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た時分、彼は一人母につれられて、谷中《やなか》の墓地へ墓参りに行った。墓地の松や
生垣《いけがき》の中には、辛夷《こぶし》の花が白らんでいる、天気の好《い》い日曜....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
り遅れる心配はない。」――そんなことも勿論思ったりした。路に隣った麦畑はだんだん
生垣《いけがき》に変り出した。保吉は「朝日《あさひ》」を一本つけ、前よりも気楽に....
「白」より 著者:芥川竜之介
を嗅《か》ぎ嗅ぎ、静かな往来を歩いていました。狭い往来の両側にはずっと芽をふいた
生垣《いけがき》が続き、そのまた
生垣の間《あいだ》にはちらほら桜なども咲いていま....
「或る女」より 著者:有島武郎
させられた。「だれがもうこんなわがままな人の所に来てやるものか」そう思いながら、
生垣《いけがき》の多い、家並《やな》みのまばらな、轍《わだち》の跡のめいりこんだ....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
ちは男女を合わせて二十人くらいもいるにはいたのだった。だがその二十人ほどは道側の
生垣のほとりに一塊《ひとかたま》りになって、何かしゃべりながらも飛びまわることは....
「星座」より 著者:有島武郎
が音を立てんばかりに強く打ちだしたのを感じた。なるべく生徒の眼に触れぬようにと、
生垣に沿うて素早く歩きだしたが、小さな生徒たちの鋭い眼はもちろんそれを見のがしは....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
せ、卑怯にも片陰を拾い拾い小さな社の境内だの、心当の、邸の垣根を覗いたが、前年の
生垣も煉瓦にかわったのが多い。――清水谷の奥まで掃除が届く。――梅雨の頃は、闇黒....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
踊舞台の潮汲に似て非なりで、藤間が新案の(羊飼。)と云う姿。 お妙は玄関|傍、
生垣の前の井戸へ出て、乾いてはいたが辷りのある井戸|流へ危気も無くその曲った下駄....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
原へ大斜めに行く場所である。が、あの辺は家々の庭背戸が相応に広く、板塀、裏木戸、
生垣の幾曲り、で、根岸の里の雪の卯の花、水の紫陽花の風情はないが、木瓜、山吹の覗....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
前をちょろちょろと小蛇が一条、彼岸|過だったに、ぽかぽか暖かったせいか、植木屋の
生垣の下から道を横に切って畠の草の中へ入った。大嫌だから身震をして立留ったが、ま....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
拝んだかわりに、汽車の煙には吃驚しそうな人々が住んでいよう。 朝夕の糧を兼ねた
生垣の、人丈に近い茗荷の葉に、野茨が白くちらちら交って、犬が前脚で届きそうな屋根....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
えて、枝がでて、花を咲かせたのでございます。そこには赤いばらの花をいっぱいつけた
生垣が、高く大きくゆいまわされて、そのいちばんうえに、星のようにかがやく白い花が....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
った、土地は高いのに、じめじめと、落葉も払わず、苔は萍のようであった。 ふと、
生垣を覗いた明い綺麗な色がある。外の春日が、麗かに垣の破目へ映って、娘が覗くよう....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
レンと、囃子がはじまる。少し坂を上って、こう、透しますと、向う斜にずッと覗込む、
生垣と、門の工合で、赤い頭ばかりが鞠のように、ぴょんぴょんと、垣の上へ飛ぶのと―....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
い、品がいいのに、媚かしく、澄ましたようで優容やか、お侠に見えて懐かしい。ことに
生垣を覗かるる、日南の臥竜の南枝にかけて、良き墨薫る手習草紙は、九度山の真田が庵....