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生憎
「生憎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生憎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
この男に追いすがり、しっかりと外套の袖を捉《とら》える。驚いてふり返った男の顔は
生憎《あいにく》田舎者《いなかもの》らしい父親ではない。綺麗《きれい》に口髭《く....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
煙草《まきたばこ》を一本|啣《くわ》えようとした。が、手をやったポケットの中には
生憎《あいにく》一本も残っていない。彼はいよいよ悪意のある運命の微笑《びしょう》....
「影」より 著者:芥川竜之介
こちらへ向いたらしい人影が一つ、朧《おぼろ》げな輪廓《りんかく》を浮き上らせた。
生憎《あいにく》電燈の光が後《うしろ》にあるから、顔かたちは誰だか判然しない。が....
「彼」より 著者:芥川竜之介
上には何冊かの本も、――講談本なども載《の》っていたであろう。しかし僕の記憶には
生憎《あいにく》本のことは残っていない。ただ僕は筆立ての中に孔雀《くじゃく》の羽....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
別れる前にしみじみこんなことを言ったものだった。
三
彼は
生憎《あいにく》希望通りに従軍することは出来なかった。が、一度ロンドンへ帰った後....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
なるんだそうだ。何をしてつかまるんだか、お徳は詳《くわ》しく話してくれたんだが、
生憎《あいにく》今じゃ覚えていない。
「大ぜいよってたかって、その人を縛ってしま....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ねて来た事だった。
十二
牧野《まきの》の妻が訪れたのは、
生憎《あいにく》例の雇婆《やといばあ》さんが、使いに行っている留守《るす》だった....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
をすぼめ、ひょっとこに近い笑い顔をした。
「ところが君の出迎いなんだよ。Bさんは
生憎《あいにく》五六日前からマラリア熱に罹《かか》っている。」
「じゃBさんに頼....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
お時儀をされたお嬢さんはびっくりしたのに相違あるまい。が、どう云う顔をしたか、
生憎《あいにく》もう今では忘れている。いや、当時もそんなことは見定《みさだ》める....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
が。」と云った。看護婦は勿論医者のほかには、誰もいないつもりに違いなかった。が、
生憎《あいにく》台所にいた松がみんなそれを聞いてしまった。そうしてぷりぷり怒《お....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ることである。
又
自由主義、自由恋愛、自由貿易、――どの「自由」も
生憎《あいにく》杯の中に多量の水を混じている。しかも大抵はたまり水を。
....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
この話の主人公は忍野半三郎《おしのはんざぶろう》と言う男である。
生憎《あいにく》大した男ではない。北京《ペキン》の三菱《みつびし》に勤めている三....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
っ返したのか、向うの浅瀬に佇《たたず》んだまま、何か僕に声をかけていた。けれども
生憎《あいにく》その声も絶え間《ま》のない浪《なみ》の音のためにはっきり僕の耳へ....
「運」より 著者:芥川竜之介
後《うしろ》から、男が一人抱きつきました。丁度、春さきの暖い晩でございましたが、
生憎《あいにく》の暗で、相手の男の顔も見えなければ、着ている物などは、猶《なお》....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
記述に関する引用書目を挙げて、いささかこの小論文の体裁を完全にしたいのであるが、
生憎《あいにく》そうするだけの余白が残っていない。自分はただここに、「さまよえる....