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生煮
「生煮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
生煮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
旅館の朝はどうだろう。……溝の上澄みのような冷たい汁に、おん羮ほどに蜆が泳いで、
生煮えの臭さといったらなかった。…… 山も、空も氷を透すごとく澄みきって、松の....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
、民族共同体への隠されたる反感とによって、次代の青年たちを、生かしも、殺しもせぬ
生煮えの状態にいぶしつつあるのである。これは悲しむべき光景である。是非ともこれは....
「言語体の文章と浮雲」より 著者:幸田露伴
たでしょうが、立意は新鮮で、用意は周到であった其一段が甚だ宜しくって腐気と厭味と
生煮とを離れたため、後の同路を辿るもののために先達となった体になったのでありまし....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
か申すは、どこの馬の骨じゃ」 「何だと!」 「騒ぐな騒ぐな。虎の威を藉《か》りて
生煮えの啖呵《たんか》を切るものではない。農工商の上に立つお歴々が、尾をふりふり....
「地上」より 著者:島田清次郎
、O伯爵家の暗い竹藪に接した長四畳の片隅で、急ぐときはポチに食わした残りの冷飯に
生煮えの熱い味噌汁を添えて食うのであった。彼は女中の腹を立てたような顔が嫌だった....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
感情に出発した共同生活の建設とでもいったらいいかと思っているんだ。しかし、こんな
生煮えの言葉をそのまま鵜呑みにされても困る。それよりか、これまでの学校でやって来....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
お前さんは消化し切れなかった牛肉の一片かも知れない。芥子の一点か、乾酪の小片か、
生煮えの薯の砕片位のものかも知れないよ。お前さんが何であろうと、お前さんには墓場....
「徒然草の鑑賞」より 著者:寺田寅彦
るかたのいさぎよさ」を讃えている。 これらの著者の態度は一方から云えば不徹底で
生煮えのようでもあるが、ものの両面を認識して全体を把握し、しかもすべての人間現象....
「交遊断片」より 著者:豊島与志雄
ある。 「よせよ。豆腐ばかり食って。」 「なに、肉も食うよ。」 そこで、私達は
生煮の肉の方へ突進していく。 所が、林原は非常な養生家だ。生豆腐や
生煮の肉なん....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
りもどし、首吊台、裂刑車、火刑台、吊刑台、耳切りの刑、四つ裂きの刑、生埋めの穴、
生煮の釜、などをとりもどすがいい。千客万来の店として、たえず新しい肉を備えている....
「三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
飲み、よく談じた。 牛鍋をつっつく時の彼は面白かった。飲みながら、談じながら、
生煮えの肉を頬張った。一切れ頬張ると、また箸をつきだして、鍋の中の
生煮えの一切れ....
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
ろうと、びくびくして筆を執《と》るから、あの男は腹の中がかたまっておらん、理想が
生煮《なまにえ》だ、という弱点が書物の上に見え透《す》くように写っている、したが....
「門」より 著者:夏目漱石
異状があるらしく思われるので、内心では始終《しじゅう》心配していた矢先だから、平
生煮え切らない宗助の果断を喜んだ。けれどもその突然なのにも全く驚ろいた。 「遊び....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
非常の利益がある。君のような人には大根でも人参《にんじん》でも何でもよく煮ないで
生煮《なまにえ》の硬い方がいいのだろう。そういう人の処へお登和を進《あ》げても折....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
登山した人の話しに富士山の上で御飯を炊くとグラグラ沸立《にえた》っていても御飯が
生煮《なまにえ》で何ほど長く煮てもよく出来ない、どういう訳だろうと帰って来て料理....