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「生身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

生身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
片恋」より 著者:芥川竜之介
びしいじゃないか。 「何《なん》しろあなた、幕の上で遇うだけなんでしょう。向うが生身《いきみ》の人なら、語《ことば》をかけるとか、眼で心意気を知らせるとか出来る....
家霊」より 著者:岡本かの子
すが》りつきたい切ない限りの様子も窓越しに見えました。そりゃそうでしょう。人間は生身ですから、そうむざむざ冷たい石になることも難かしい」 徳永もその時分は若か....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の、見えない目で見られると、悚然してよ。私は元気でいるけれど、何だか、そのために生身を削られるようで瘠せるのよ。可哀相だ、と思ったら、貴下、妙子さんを下さいな。....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
声なんぞは練習次第でどうにでもなるが、刺青の方はそうは行かない。体質の弱い人間が生身に墨や朱を注すと、生命にかゝわると昔からきまっているんだから、どうにも仕様が....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
の氷雪と、大氷河の囲繞。とうてい五百マイルの旅をして核心を衝くなどということは、生身の人間のやれることではない。だから、そこに冥路の国がある、死んだ魂があつまる....
長篠合戦」より 著者:菊池寛
代の戦術その儘である。こう云う戦術にかかっては、いかに馬場信房でも山県昌景でも、生身である以上、忽ちやられるわけである。而も彼等が戦いを欲して進んだのでなく、勝....
春昼」より 著者:泉鏡花
合わせば筏になる。しかるに、綱も棹もない、恋の淵はこれで渡らねばならないものか。生身では渡られない。霊魂だけなら乗れようものを。あの、樹立に包まれた木戸の中には....
地球要塞」より 著者:海野十三
瓦斯を吸って死んだマリ子は、にせ者のマリ子にちがいありません。そして、そいつは、生身《なまみ》の人間でしょう。いま、よく調べてみます」 大佐は、そういって、自....
大使館の始末機関」より 著者:海野十三
、あれを見たか。あれが、叩きつける“椅子”じゃ。あれでは硬い壁に叩きつけられて、生身の人間は一たまりもあるまい。可哀そうに死んだか」 「王老師、壁に穴があきまし....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
の鐘はどうするのじゃ。 晃 百合が心得ておる。先代弥太兵衛と違う。仙人ではない、生身の人間。病気もする、百合が時々代るんだよ。 学円 では、池のあたりで聞きまし....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
たのである。 それは、剣もこぼれるというジーグフリードの身体に、どこか一個所、生身と異ならぬ弱点があるからだ。それを知ろうと、ハーゲンはクリームヒルトをたぶら....
光は影を」より 著者:岸田国士
しやつたつて、あたしの胸に、ぴんと来ないから、いや……。あたしは、たかだか女よ。生身の女よ。一度失つたものは、もう取り返すことのできない、あわれな女よ」 「そん....
唇草」より 著者:岡本かの子
い世界に浮き上り、自分の唇の真向きの位置に、少し盛り上った栖子の唇が意識された。生身の唇と唇とは、互いに空気に露き出しになっているのを早く庇い度いように、間の距....
西航日録」より 著者:井上円了
詩に曰く、 日本井上円了博士遠訪于哲孟雄金剛宝土贈詩和之 万死奔亡救国危、余生身世入須弥、何当空谷来鸞嘯、了尽人天更不悲。康有為 (日本の井上円了博士は遠く....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
し人に逢ふ心地する 残んの花の歌で恋歌ではないであろうが、忍びし人に逢う心地に、生身の心の温かみを感じさせるのである。 うとくなる人を何とて恨むらむ知られず知ら....