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「産褥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

産褥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
若杉裁判長」より 著者:菊池寛
はなんでも三月の何日かに当っていました。若杉さんの家では、産後間もない夫人がまだ産褥《さんじょく》を離れていない時でした。もう男の子三人のお母さんでしたが、いつ....
緑の芽」より 著者:佐左木俊郎
らないうちに、ちょうどそれが田植えの時期だったので、無理に田圃へ出たのがもとで、産褥《さんじょく》熱が昂《こう》じ、ひどい出血の後に、忙しい時期にお産をしたこと....
新生」より 著者:島崎藤村
。片田舎らしい蛙《かわず》の声が自分の耳に聞えて来ていると書いてよこした。自分が産褥《さんじょく》に就《つ》くまでには、まだしばらく間があるから、せめてもう一度....
ネギ一束」より 著者:田山花袋
て歩くが、どうしても泣きやまぬ時などは、いっそ放り出してしまおうかと思うほどだ。産褥を早く離れた結果と、営養の不足と、精神の過労とで、今までついぞ病んだことのな....
三人の双生児」より 著者:海野十三
きさえすればすべてが氷解することと思う。どうしても妾は、静枝の云うように、彼女と産褥にある母とを加えて、父が三人の双生児と洒落らしいことを云ったなどとは考えない....
」より 著者:金史良
述懐に依ると、二男一女が一時に熱病でやられているが、信用はおけない。唯彼の女房が産褥で悶死したことだけは、どうにか事実だと云われている。 今年の夏なども帰国す....
蒲団」より 著者:田山花袋
の二月で、丁度時雄の三番目の男の児の生れた七夜の日であった。座敷の隣の室は細君の産褥で、細君は手伝に来ている姉から若い女門下生の美しい容色であることを聞いて少な....
備忘録」より 著者:寺田寅彦
柱にしてあと足で長く立っていられるのもまたその特技であった。この「チビ」は最初の産褥でもろく死んでしまった。その後|仙台へ行ってK君を訪問すると、そこにいた子猫....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の状態にあるという手紙に接して、夫人はほとんど狂気せんばかりになった。 夫人は産褥から離れるのを待って、父の城へ馳せつけた。ある晩、彼女は生き別れの夫や赤ん坊....
砂糖泥棒」より 著者:黒島伝治
与助の妻は産褥についていた。子供は六ツになる女を頭に二人あった。今度で三人目である。彼はあ....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
る小僧に『この頃おかみさんの姿が見えないが、変りはないか』とお尋ねに預かり、私は産褥でこれを聞いて心から有難く思い、またそちらにおめでたがあれば嬉しく、御不幸と....
博物誌」より 著者:岸田国士
と、獣医は言う。 私たちは、なんの病気か訊いてみる勇気もない。 獣医はどうも産褥熱らしいと言う。よく命にかかわることもある病気で、それも特にいい乳牛に多い。....
前妻の怪異」より 著者:田中貢太郎
。 そのうちに妻が妊娠して、翌年になって男の子を分娩したが、ひどい難産のうえに産褥熱で母体が危険になった。青年は幾晩も眠らないで、愛妻を看護する傍、嬰児のため....
天井裏の妖婆」より 著者:田中貢太郎
鏑木清方画伯の夫人が産褥熱で入院した時の話である。 その夫人が入院した時は夜で、しかもひどく遅かっ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
みつつ、ああ、彼女ら成牝の大群が来る。 渺たる岩島海豹島こそは彼女らの光栄ある産褥であり、新らしき、また盛んなる蕃殖場である。 飛沫だ、 飛沫だ、 飛沫....