田の草[語句情報] »
田の草
「田の草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
田の草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「駈落」より 著者:佐左木俊郎
んなもの持だなげえ、お祭りさ行かれねえごったら、明日は、お祭りさ行かねえで、家の
田の草でも取れ!」 爺さんは怒鳴りながら煙管《きせる》で炉端《ろばた》を叩いた....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
《くるしみ》をいたしました。農家の女の労苦《つらさ》はどれ程でしょう――麦刈――
田の草取、それから思えば荒井様の御奉公は楽すぎて、毎日遊んで暮すようなものでした....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い出した。 「え、おい。あの餓鬼をどうかしてくれねえじゃあ困るじゃねえか。どうで
田の草を取っていた日向《ひなた》くせえ女だ。気に入らねえのは判り切っているが、眼....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
処へ些とずつ遣りましたよ、毎度はや誠に有難い事でござえます」 秋「どうだ、暑中の
田の草取りは中々辛いだろうのう」 婆「はい、熱いと思っちゃア兎ても出来ませんが、....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
夫達が労苦するかを見た。彼等の背中に木の葉を挿して、それを僅かの日除としながら、
田の草を取って働いていた。私なぞは洋傘でもなければ歩かれない程の熱い日ざかりに。....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
を重ねたあとで、半蔵はちょっと座をたって、廂から外の方に夜の街道の空をながめた。
田の草取りの季節らしい稲妻のひらめきが彼の目に映った。 「半蔵さん、攘夷なんてい....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
を引いて頂けゃ、水はそれで十分以上でごわすもの、そしたら、肥料もどっさり入れて、
田の草取りなんかわらわらと、俺等は鬼のように稼いで、来年こそは、立派な稲にしてお....
「たにしの出世」より 著者:楠山正雄
のなかにはいってみました。春さきのことで田のなかは、水がじくじくわき出していて、
田の草のなかから、すみれやげんげの花が、顔を出していました。 およめさんはよそ....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
達は為吉を羨しがった。一生村にくすぶって、毎年同じように麦を苅ったり、炎天の下で
田の草を取ったりするのは楽なことではなかった。谷間の地は痩せて、一倍の苦労をしな....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ということだな」 「鼻持ちがならねえ、いろきちげえ!」 「だが、銚子の小町娘も、
田の草を取ったり網を干したり、野良馬の手綱をひいたりしたでは、こいつどうも色消し....
「米」より 著者:犬田卯
て、それから青年学校の先生を訪ねて行った。 七 植付が終って、今後は
田の草取りだった。黒々と成育し分蘖しはじめた一つの稲株を見ると、浩平はとにかく得....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
すが、生まれはやはり江戸で、清元などをよく語ったそうです。 そんな風ですから、
田の草を取っている在所の娘さん達とは自然と肌合いも違いましょうし、その上に両方と....
「山吹」より 著者:泉鏡花
第に、かくて樹立に隠る。) 舞台しばらく空し。白き家鴨、五羽ばかり、一列に出でて
田の草の間を漁る。行春の景を象徴するもののごとし。 馬士 (樹立より、馬を曳いて....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
田という農家に三人の男の子が生れた。総領は児供の時から胆略があって、草深い田舎で
田の草を取って老朽ちる器でなかったから、これも早くから一癖あった季の弟の米三郎と....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
し、名僧知識たちが教義を工夫されたのも、やはり目的はこの一点にかかっております。
田の草をそのまま田への肥料かな この句はよくこの意味の説明の引合いに出される句....