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田野
「田野〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
田野の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
一ぱいに負いながら、何匹も飛び出した。 時どき烟《けむり》を吐く煙突があって、
田野はその辺《あた》りから展《ひら》けていた。レンブラントの素描めいた風景が散ら....
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
十町余にして一天地に出づ。天蒼々と快く晴れ、春日猗々として風暖く、河辺、山傍、又
田野には、奇花芳草欝乎として開き、風景秀麗画図の如し。行く行く一座の高楼を見る。....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
得なくもなり、また今|残り餌を川に投げる方が宜いといったこの児の語も思合されて、
田野の間にもこういう性質の美を持って生れる者もあるものかと思うと、無限の感が涌起....
「運命」より 著者:幸田露伴
寧海の人。父|克勤は済寧の知府たり。治を為すに徳を本とし、心を苦めて民の為にす。
田野を闢き、学校を興し、勤倹身を持し、敦厚人を待つ。かつて盛夏に当って済寧の守将....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
女は逃腰になると聞いたが、政宗に従っていた新らしい武士は逃げて退いた。其中でも矢
田野伊豆《やだのいず》などいう奴は逃出して故郷の大里城に拠《よ》って伊達家に対し....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
そこから斜に濃い藍の一線を曳いて、青い空と一刷に同じ色を連ねたのは、いう迄もなく
田野と市街と城下を巻いた海である。荒海ながら、日和の穏かさに、渚の浪は白菊の花を....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
車が、パリー近隣のねとねとした土地を耕している百姓たちのむさくるしい納屋の中に、
田野の泥にまみれ、豚に嗅ぎ※っているのを、誰一人として聞きつけはしなかった。彼等....
「文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
処々眞黒な屋根々々が、不揃ひに並んだS町の向うには、狭い町幅をすぐ越えて、一面の
田野が処々に杜を黒ませたり、畔のやうな区畫を見せたりして、広く続いてゐた。そして....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
精神病には数えませぬ。月に魅せられて、ついうかうかとさまよい出て、市中または林間
田野を歩き廻り、覚えず溝川に落ち入り、折々は死ぬるものもあるとか聞きました。緒方....
「荘子」より 著者:岡本かの子
ている鳥が何百羽とも知れずその周囲に騒いで居た。鳴声が遠い汐鳴りのように聴えた。
田野には低く夕靄が匍って離れ離れの森を浮島のように漂わした。近くの村の籬落はまば....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
を十分に取って、吉原で派手をした、またそれがための没落ですが、従って家郷奥能登の
田野の豊熟、海山の幸を話すにも、その「入船帳」だけは見せなかった。もうその頃から....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
翌十八日また雨の中を下って行く事三哩、またそれから橋を踰えて登る事三哩。その辺は
田野がよく開けて、ネパール人がこの辺には沢山移住して来て新しく
田野の開けたのが沢....
「一癖あるどじょう」より 著者:北大路魯山人
いだろうか――というのもある。柳川は日本一の優良すっぽんの出るところ。一望千里の
田野を縫う賽の目のような月水|濠は、すっぽんとともに優良などじょうを産する。ほか....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
の襲来を聞かず。 五月一日、晴れ。早朝汽車に駕して、ブリズベーン市に至る。途上
田野を一望するに、概して赤土荒原にして、殺風景を極むるが、すべて牛馬の牧場なり。....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
裏一帯の土地、即ち関口滝あたりからずっと先、遠く山吹の里なる面影橋附近まで一面の
田野で、東電変圧所の赤煉瓦の建物が、その田圃の真中にただ一つぽつんと、あたりの田....