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田面
「田面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
田面の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
富士山真白ろに連山の上に聳《そび》ゆ。風清く気澄めり。
げに初冬の朝なるかな。
田面《たおも》に水あふれ、林影|倒《さかしま》に映れり」
十二月二日――「今朝霜....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
。余事は格別、縁談に就いて彼は誰の相手にもならなかった。 明くる年の春は来た。
田面《たづら》の氷もようやく融《と》けて、彼岸の種|蒔《ま》きも始まって、背戸《....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
。「さては何処かで見ているな」で、グルリと見廻した。併し何処にも人影が無かった。
田面が月光に煙っていた。立木が諸所に立っていた。立木の蔭にも人はいない。 「家の....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
夏は青々として眼がさめる。葭切、水鶏の棲家になる。螢が此処からふらりと出て来て、
田面に乱れ、墓地を飛んでは人魂を真似て、時々は彼が家の蚊帳の天井まで舞い込む。夏....
「十姉妹」より 著者:山本勝治
田面には地図の様な線条が縦横に走って、旱の空は雨乞の松火に却って灼かれたかの様に....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
て朝風やゝ肌寒く露の小萩のみだれを吹いて葉鶏頭の色鮮やかに穂先おおかた黄ばみたる
田面を見渡す。薄霧北の山の根に消えやらず、柿の実|撒砂にかちりと音して宿夢拭うが....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
武士の声が響いて来た。と、つづいてウワーッという、海賊どもの喚き声が聞こえ、忽ち
田面の蝗のように、胴の間口から七、八人の、海賊どもが飛び出して来た。と、その後ろ....
「美音会」より 著者:佐藤垢石
い。 終わるとまず桃水君が『フフウン』と感じ入った。 『しかし芝土志は、枯野の
田面をたおも唄わなくちゃいけない。僕のところなら直ぐなおしてやるのだが』とこう独....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
水に湿った田に往々低い茎のあるいは立ちあるいは横斜したヤナギタデが越冬して残り、
田面をわたる東風に揺れつつ早くも開花結実しているのを見かけるが、これはなんら他の....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
たぶく日影に杖をたてゝ時しらぬ富士の白雪《しらゆき》をながめ千町《せんちょう》の
田面《たのも》のみどりになびく風に凉みてしばらくいきをのぶとぞ聞えし又|物部《も....
「向嶋」より 著者:永井荷風
唄《はやりうた》にも「枯野ゆかしき隅田堤」というのがある。「心も晴るる夜半の月、
田面《たのも》にうつる人影にぱつと立つのは、アレ雁金《かりがね》の女夫《めおと》....
「牛捨場馬捨場」より 著者:喜田貞吉
処理する責任を有し、その代りに平素相当の扶持を得る慣例のもの)で、稲場とは収穫後
田面の落穂を拾う権利であるかと思われる。しかしこれらは問題の牛馬捨場以外のもので....