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「甲斐甲斐しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

甲斐甲斐しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
ごしら》えが出来ると、俵屋《たわらや》の玄関から俥《くるま》を駆って、制服制帽の甲斐甲斐しい姿を、七条の停車場へ運ばせる事にした。 ところが乗って見ると、二等....
彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
相談や、この長火鉢の位置についての争論を思いやって、やはり生活のあらたまった折の甲斐甲斐しいいきごみを感じたわけであった。煙草を一本吸っただけで、僕は腰を浮かせ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
たまま、その薄気味悪いほどの光のある、白い手を弄んでいた。その側に、伸子の小さい甲斐甲斐しい手が――その乾杏のように、健康そうな艶やかさが、いとも可愛らしげに照....
共同耕作」より 著者:宮本百合子
てくれる。その勝は、権太郎の息子といっしょにとられている。だからとめが、娘ながら甲斐甲斐しい野良姿で自転車をとばして行くところなのだ。×元村の組合員豊治の家まで....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
でも、寒気に凍えて、殆んど血が通ってるとは思われない、晃平たち案内者は、さすがに甲斐甲斐しい、蓆に雪をどっさり包んで、担い梯子でしょって来て、それから薬鑵の中で....
青年」より 著者:森鴎外
強そうな、好んで何物をも犠牲にするような性格や、その性格を現わしている、忠実な、甲斐甲斐しい一般現象に対しては同情を有していたが、どんな顔をしているということに....
働く婦人」より 著者:宮本百合子
いえどもより働くのが当然という感じかたが加わって来ていると思う。 働く女という甲斐甲斐しい表現を、今日の日本の現実にふれて女の働きと置き直して観察すると、実に....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
として、ただ立ち尽しているのです。 笠も、合羽もつけないで、黒い紋附に、旅装い甲斐甲斐しい宇津木兵馬の立ち姿が、秋草の乱れた中に立ち尽していることだけは、間違....
箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
た頃にやっと持って来たのであったが、熱海ホテルの方ではまだお茶を飲んでいる最中に甲斐甲斐しい女給仕が横書きの勘定書をもって来て、「サービス三十銭頂戴します」と云....
道連」より 著者:豊島与志雄
時参《うしのときまい》りの時刻じゃないか。実際その時母は、丑時参りでもするような甲斐甲斐しい気持だったに違いない。 村から鉄道の駅まで行く四里の田舎道は、どん....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
られる。 真っ先に開いたは「鏡山」で、敵役岩藤の憎態で、尾上の寂しい美しさや、甲斐甲斐しいお初の振る舞いに、あるいは怒りあるいは泣きあるいは両手に汗を握り、二....
P丘の殺人事件」より 著者:松本泰
た。そのうちに伯父の顔はいつか、坂口自身になり、エリスの顔は緑色のブラウスを着た甲斐甲斐しいビアトレスの姿になった。 坂口は軈《やが》て華胥《ねむり》の国に落....
天狗外伝 斬られの仙太」より 著者:三好十郎
ける。そこへ右手屯所からバラバラと走り出して来る三人の遊隊士。前二人と同じような甲斐甲斐しい身装をしている。遊二それに突当りそうになりながら)どうしたですっ! ....
思い出草」より 著者:岡本綺堂
。頭には昔ながらの小さい髷を乗せて、小柄ではあるが、色白の小粋な男で、手甲脚袢の甲斐甲斐しい扮装をして、肩にはおでんの荷を担ぎ、手には渋団扇を持って、おでんやお....
悪魔の弟子」より 著者:浜尾四郎
きなり座敷の襖を引き開けたのです。 そこに私は、台所から今しも出て来たらしい、甲斐甲斐しい女房振りの露子をはっきり認めました。 彼女の顔はいつものように稍《....