甲羅[語句情報] »
甲羅
「甲羅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
甲羅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
の降っている往来には、細い銀杏《いちょう》の並木が僅に芽を伸ばして、亀《かめ》の
甲羅《こうら》に似た蝙蝠傘《こうもりがさ》が幾つもその下を動いて行く。それがまた....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
がに》の這《は》っているのを見つけました。しかもその沢蟹はもう一匹の沢蟹を、――
甲羅《こうら》の半ば砕けかかったもう一匹の沢蟹をじりじり引きずって行くところなの....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
ない石の連続がずーうっと先の先の方までつづいている。いちばん遠い石は蟹《かに》の
甲羅《こうら》くらいな大きさに見える。それが近くなるに従ってだんだんに大きくなっ....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
敏なものの方に強味がある。 たいへんな老女がいたものだ、と柚木は驚いた。何だか
甲羅を経て化けかかっているようにも思われた。悲壮な感じにも衝《う》たれたが、また....
「恐竜艇の冒険」より 著者:海野十三
ん》だの、大きな剥製《はくせい》のトカゲだの、きれいにみがいてあるべっこうガメの
甲羅《こうら》などを売っていて、みんなほしくなった。 サムなんか、もう少しで、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
い乾大根のような脚は縮んで着物の裾へスルスルと入ってしまった。まるで泥亀が手足を
甲羅の中に隠してしまったかのように。 僕は、日がとっぷり暮れるのを待って、役所....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
四日目に来た薫を、ちょっと周囲から遠ざかった蘆洲の中の塚山へ連れて行った。二人は
甲羅干の風をしながら水着のまま並んで砂の上に寝そべった。小初は薫を詰るように云っ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
ざらめく蒼味がかった手を、ト板の縁へ突張って、水から半分ぬい、と出た。 「大将、
甲羅干しに板へ出る気だ。それ乗ります。」 と男衆の云った時、爪が外れて、ストン....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
境を睨め着けたが、 「これは、」 と云う時、かっしと片腕、肱を曲げて、その蟹の
甲羅を面形に剥いで取った。 四十余りの総髪で、筋骨|逞ましい一漢子、――またカ....
「海亀」より 著者:岡本綺堂
んだようになっている。かれらはほとんど無数というほどに増加して、舟の周囲に一面の
甲羅をならべたのが月の光りにかがやいて見える……。君がこういう奇異に遭遇したらど....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
気分が悪くって寝ていらっしゃるんだ、というじゃありませんか。」 「あら、こんなに
甲羅を干しておりますものを。」 「へい、」と、綱は目を※って、ああ、我ながらまず....
「蟹満寺縁起」より 著者:岡本綺堂
よし、俺がきっと救ってやるから、安心して遊んでいろ。おれはあの木のかげへ行って、
甲羅をほしながら午睡をしているから、なにか怖い者が来たら、すぐに俺をよべ。いいか....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
さほど思案に暮れるほどの事でもないが、この間待って黙って控えた。奴、鼠のように亀
甲羅宇を引いて取り、 「おかみさん、頂きます。」 「まずいよ、私ンだから。」 「....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
潟の鮒の碗を冷して、箸をきちんと、膝に手を置いた状は可哀である。こっちには、蟹の
甲羅――あの何の禁厭だか、軒に鬼の面のごとく掛ったのを読者は折々見られたであろう....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ない。僕の父の友人の一人は夜網を打ちに出ていたところ、何か舳へ上ったのを見ると、
甲羅だけでもたらいほどあるすっぽんだったなどと話していた。僕は勿論こういう話を恐....