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申分
「申分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
申分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
目を閉じながら、 「他ならぬ先生の御口添じゃあるし、伺った通りで、河野さんの方も
申分も無い御家です。実際、願ってもない良縁で、もとよりかれこれ異存のある筈はあり....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
質であるので、針仕事などは年にもまして巧者であった。 「これで足さえ揃っていれば
申分はないのだが……。」と、与市の母や兄も一層かれの不幸をあわれんだ。 不具に....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
がお遊びにおいででございますから。 桔梗 お鬱陶しかろうと思いまして。それには、
申分のございませんお日和でございますし、遠山はもう、もみじいたしましたから。 女....
「空襲警報」より 著者:海野十三
きたんだったら、今ごろは冷たい屍になっているかもしれない……」 町いったいは、
申分のない非常管制ぶりだった。直江津の全町は、まったく闇の中に沈んでいた。旗男は....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
するほど惚れていました。その腹の貢さんじゃ。これがまた女の中で育ったというもので
申分の無いお稚児様に出来ているもの。誰でも可愛がるよ、可愛がりますともさ。ははは....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
人はせいせい息を切った。 二十八 「どうですか、余り推つけがましい
申分ではありますが、心はおなじ畜生でも、いくらか人間の顔に似た、口を利く、手足の....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
、はは。」 独りで笑出した。 「まず昼間で可かった。夜中にこれを見せられると、
申分なく目をまわす。」 三 これより前、境はふと、ものの頭を葉|....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ばモー二十|年の昔になります。最初彼女に起った現象は主として霊視で、それは殆んど
申分なきまでに的確明瞭、よく顕幽を突破し、又遠近を突破しました。越えて昭和四|年....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
仕事ができる。更に又|座を組織する立会人達の気分が、充分調和していてくれれば一層
申分がない。交霊会の席上に出現する燐光でさえもが、右にのぶる如き好条件の下にあり....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
秀才で、銀行員のいい処、年は四十だが若々しい、年齢にちと相違はあるが、この縁組に
申分はない。次の室つき井菊屋の奥、香都良川添の十畳に、もう床は並べて、膝まで沈む....
「経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
新嫁になんの気苦労もなかった。夫婦の仲も睦まじかった。 「これで何事もなければ、
申分はないのですがねえ。」と、お峰は夫にささやいた。 由兵衛もひそかに無事を祈....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
「魚は好し、景色は好し、これで弁天様が御出現ましまして、お酌でもして下さると、
申分は無いのだが……」と宗匠は早や酔って来た。 「この上
申分無しだと、どこまで酔....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
くの方で、低い処で、こちらにも里がある、楽しいよ、と鳴いています。何不足のない、
申分のない、目を瞑れば直ぐにうとうとと夢を見ますような、この春の日中なんでござい....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
相違ない。一口、というのさえ酒でなしに、魔法に限ります、かかり切りになっていりゃ
申分はありません。」 といって、肩のめりに、ぐったりと手を支いた。 この獅子....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
人間が正直で、能く働いて、相当の着物も持っているのであるから、奉公人としては先ず
申分のない方であった。諄くもいう通り、甚く温順い女で、少し粗匆でもすると顔の色を....