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男泣き
「男泣き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
男泣きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
して深々と息気《いき》をひいてしゃくり上げながら、葉子の肩に顔を伏せてさめざめと
男泣きに泣き出した。
この不意な出来事はさすがに葉子を驚かしもし、きまりも悪く....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
女達の赤い目がこれ見よがしだった。三十歳の蝶子も母親の目から見れば子供だと種吉は
男泣きした。親不孝者と見る人々の目を背中に感じながら、白い布を取って今更の死水《....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
その布告の写を、役所から携え帰って、万之助に見せた。 万之助は、それを見ると、
男泣きに泣いた。 万之助が泣き止むのを待って、新一郎は静かにいった。 「かよう....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
た上に、あられもない悪評の的になっているのじゃ」 忠次郎は、声こそ出さないが、
男泣きに泣いた。 幸太郎は、それを制するようにいった。力強くいった。 「何を仰....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
きな波が浴びせこんで来たので、片方だけに人の重りの加わった船はくるりと声をあげて
男泣きに泣くか、それとも我れを忘れて狂うように笑うか、どちらかをしそうな表情――....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
にされたり、また、自分が一生懸命になっている女にまでも謀叛されたりするのだ」と、
男泣きに泣いたそうだ。 ある時などかれは、思いものの心を試めそうとして、吉弥に....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
に活を拾い、生中に死に追われ、幾度か転々。或は生ける屍となり、或は又断腸の想いに
男泣きに泣く。而も敗戦の実相は未だ展開し尽されしにあらず、更に来るべき年へ延びん....
「地球盗難」より 著者:海野十三
歩いていった。 さすがの父親も、木立の隙間から、電灯明るく輝く檻の中を望んで、
男泣きに泣いた。伜がこうまで悲惨な化物になっているとは、檻を望むまでは知らなかっ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
送別品のハンケチを、汽車の窓に泣き伏しているかの女の手へ持ち添えて、顔も上げ得ず
男泣きに泣いていた姿を想い出すと、彼女は絶望的になって、女ながらも、誰かと決闘し....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
救われた為に、今日の監獄生活は他の在監者が日々夜々煩悶に苦痛を重ねて、心の中では
男泣きに涙を滾して居りますが、私はそれと反対で日々夜々何一つの不安をも感ぜず、喜....
「戦話」より 著者:岩野泡鳴
なっとる。中には倒れないで坐ったまま、白骨になっとったんもある。之を見た収容者は
男泣きに泣いたそうや。大石軍曹はて云うたら、僕がやられたところよりも遙かさきの大....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
るために、ついてまいったようなものです。ざ、残念この上もありません」 わーっと
男泣きに泣く声が、風の間に聞えた。二人の会話は、ちょっと杜絶えたが、 「ああ、も....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
しばらく黙したりき。ややあり思出したらんかのごとく、 「旦那はそのまま崩折れて、
男泣きに泣いたわね。 私ゃもう泣くことも忘れたようだった。ええ、芳さん、環がな....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
前のめりに倒れた。背の肉が波のように蜒っている。恋人八重が盗人とは! これが彼を
男泣きに泣かせたのらしい。 そういう二人を左見右見しながら、頼母は酸味ある微笑....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
。 この時ルパンは相手から手を放し、その傍に突伏して、息も絶え絶えに声を呑んで
男泣きに泣いた。 ああ、とうとう悲劇は来た。 巨人ルパンがすべてを捨てて、平....