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「町並〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

町並の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
を見ると、時々風がなぐれる度に、往来が一面に灰色になる。と思うとまた、銀座通りの町並が、その灰色の中から浮き上って、崩《くず》れるように後《うしろ》へ流れて行く....
或る女」より 著者:有島武郎
は、いつのまにか、葉を払い落とした枝先を針のように鋭く空に向けていた。シヤトルの町並みがあると思われるあたりからは――船のつながれている所から市街は見えなかった....
或る女」より 著者:有島武郎
手先を見入った。そうしたままでややしばらくの時が過ぎた。 十一時近いこのへんの町並みはいちばん静かだった。葉子はふと雨樋《あまどい》を伝う雨だれの音を聞いた。....
星座」より 著者:有島武郎
ると町の姿が変ってきゅうに小さな都会の町らしくなっていた。夜寒ではあるけれども、町並の店には灯が輝いて人の往来も相当にあった。 ふと柿江の眼の前には大黒座の絵....
クララの出家」より 著者:有島武郎
り今は。 我がめぐわしき少女。 春なる、ああ、この我れぞ春なる。 寝しずまった町並を、張りのある男声の合唱が鳴りひびくと、無頓着な無恥な高笑いがそれに続いた。....
赤外線男」より 著者:海野十三
田中町の方へ足を向けた。震災前には、この辺は帆村の縄張りだったが、今ではすっかり町並が一新してどこを歩いているものやら見当がつかなかった。どこから金を見つけて来....
雛妓」より 著者:岡本かの子
されていて、一枚だけ開けひろげてある障子の間から、その水を越して池の端のネオンの町並が見亙せる。 逸作は食卓越しにわたくしの腕を揺り、 「鐘の音は、もう済んだ....
一坪館」より 著者:海野十三
は家がたちそろいにぎやかになっていった。それと競争のように、裏通りの方も日に日に町並がかわって、新店があちらにもこちらにも開店祝いのびらをにぎやかにはりだした。....
心臓盗難」より 著者:海野十三
ーバーを地上にひきずるようにして、深夜の町を歩いていた。 めずらしく暖い夜で、町並は霧にかくれていた。もはや深更のこととて行人の足音も聞えず、自動車の警笛の響....
古狢」より 著者:泉鏡花
子ね、目許に恐ろしく情のある、口許の優しい、少し寂しい。」 三人とも振返ると、町並樹の影に、その頸許が白く、肩が窶れていた。 かねて、外套氏から聞いた、お藻....
南地心中」より 著者:泉鏡花
」 と微笑みながら、二人を前に。 「多一さんが、使の間をちょっと逢いに寄って、町並|灯の点された中に、その店だけは灯もつけぬ、暗いに島田が黒かったえ。そのな、....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。」 「生白い、いい肴だ。釜で煮べい。」 「もう。」 館の電飾が流るるように、町並の飾竹が、桜のつくり枝とともに颯と鳴った。更けて山颪がしたのである。 竹を....
巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
ある。「春の香水、ヴィオレット・ド・バルム」気が利き過ぎて却って張り合いがない。町並のシャンゼリゼーが並木のシャンゼリゼーへ一息つくところに道の落合いがある。丸....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
に気を奪われない事だということを加奈子は心得ているので何気なく振舞う為めに続いて町並を点検して行く。 塀にも屋根の上にも一ぱいに専門の皮膚、泌尿科を麗々しく広....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
と、急き心に肩を揃えて、私は、――瀬戸物屋で――骨董をも合わせて陳列した、山近き町並の冬の夜空にも、沈んだ燦爛のある窓飾の前へ立った。 「……ござんせんね。」 ....